サッカー日本代表 三笘薫【写真:Getty Images】
三笘薫選手は、現代サッカーに必要な能力をほぼ兼ね備えている。単純な足の速さでは測れないオン・ザ・ボールでの「サッカー的スプリント」高さは特筆に値する。史上最強との呼び声が高いサッカー日本代表アタッカー11人の「動作的特徴」と「身体的特徴」を徹底的に解析した『サッカー日本代表アタッカー動作解析図鑑』より、「日本のエース」三笘薫選手最大の武器である緩急自在の幻惑ドリブルのメカニズムに迫った章を一部抜粋で公開する。後編(文:三浦哲哉 )
三笘選手の代名詞「反発ステップ」
三笘選手の代名詞ともいえる「反発ステップ」では、クッと沈み込んで前傾姿勢をつくりながら、腕振りに合わせて骨盤の挙上と水平方向の「回旋」の動きが脚と連動します。
地面に大きな力を加えながら両脚を素早く入れ替えていくことによって、初速の一歩目から大きなストライドで相手選手をグイグイと引き離していくような、三笘選手特有のしなやかで躍動感のあふれる速さが生み出されます。
さらには、反発ステップでは、ボールタッチする右脚の運びが、ちょうどそのままスプリントの一歩目になるような動かし方もポイントになります。
ボールタッチする右脚の使い方について三笘選手は、「内股気味なので、脚を真っ直ぐにもっていきやすい」と説明しています。
ガニ股気味にではなく、自然と膝が正面を向くような股関節の通り道で、身体の真下にあるボールを足の甲の外側ですくうようにしてスパッと前方に振り出していくと、スムーズな初速につながります。
反発ステップは縦への突破ですが、縦に行くと見せかけて右足のアウトサイドでボールタッチして内側に切れ込んでいく「カットイン」のキレ味の鋭さも、三笘選手の魅力のひとつです。
カットインでは、進行方向と反対脚(外脚)を着地するタイミングで、上半身の姿勢を保持しながらグッと真下に沈み込むことによって、地面に大きな力が加わります。
三笘選手のようにカットインが鋭い選手は、「ヒップロック」した状態で外脚の爪先が内側(進行方向側)を向きます。股関節の内旋が連動することで骨盤の回旋がスムーズになり、上半身の向きを変えながら素早く並行移動していくような、バネ感のある加速になります。
もうひとつの得意な形
もうひとつ、右足のキックモーションから左側にクッと切り返す「キックフェイント」も、三笘選手が得意とするかたちです。
相手選手を外すように大きく右側に持ち出してクロスを上げると思いきや、踏み込んだ軸足を曲げてクッと沈み込みながら足裏を地面から離して、右足のインサイドで切り返します。
三笘選手の場合は、切り返しで①縦のスペースに大きく出す、もしくは②足元に置く、という二種類を状況に応じて使い分けますが、②の場合には、ちょうど反発ステップと同じような体勢から縦に加速する、または再度右側に持ち出してDFをかわしていきます。
三笘選手は、縦に突破してから内側に切れ込んでいくスピードにも優れています。
サッカーでは、直線的よりもカーブしながらのスプリントのほうが多いといわれています。曲線的に速く走る技術は、「サッカー的スプリント」のひとつになります。
三笘選手は、身体を内側に傾けながら骨盤と脚の動きをうまく連動させて、スムーズに加速していきます。
これまで数多くのゴールシーンを演出してきた三笘選手の鮮やかなドリブル突破は、どの対戦相手からも入念な対策がなされるようになっています。
現在は、二重三重の厳しいマークをかいくぐりながらビッグチャンスをつくることが期待されています。
<書籍概要>

『サッカー日本代表 アタッカー動作解析図鑑』
三浦哲哉 著 須田芳正 監修
定価1,980円(本体1,800円+税)
世界一詳しすぎる日本が誇る「蒼き侍の攻撃力」の攻略本
三笘薫選手の反発ステップ、伊東純也選手のクロス、久保建英選手のカットイン……。超一流アタッカーの身体動作はなぜあれほどまでに美しく、そして語りたくなるのか? 史上最強との呼び声が高いサッカー日本代表アタッカー11人の「動作的特徴」と「身体的特徴」を徹底的に解析し、約100点の動作・身体イラスト&アイコンを駆使しながら、それぞれのすごさを余すことなく言語化した唯一無二の身体動作解析本。
【了】

