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理解する者が勝つ。日本代表対アイスランドで分かった新ルールの重要性。W杯までに整理しておきたいポイントを振り返る

text by 竹中愛美 photo by 田中伸弥,Getty Images
サッカー日本代表

アイスランド代表戦に臨んだサッカー日本代表【写真:田中伸弥】



 FIFAワールドカップ2026(W杯)北中米大会で導入される新競技規則が、5月31日の日本代表対アイスランド代表戦で適用された。スローインやゴールキックの時間制限、負傷時の再入場ルールなど、試合進行に関わる変更点は少なくない。一見すると小さな改正に見えるが、実際に試合を終えた選手や監督の言葉からは、本大会で勝敗を左右する要素になり得ることが見えてきた。

アイスランド戦で適用されたW杯新ルール

 北中米W杯では、交代時間の制限(10秒)、スローイン・ゴールキックの時間制限(5秒)、VAR適用要件の見直しなどが採用される。

 スローインやゴールキックでは、意図的な再開遅延があった場合に主審が5秒のカウントダウンを行う新制度が導入された。再開されなければ、スローインは相手ボール、ゴールキックは相手のコーナーキックに変更される。

 交代時には、ピッチを退く選手が10秒以内にフィールドを離れなければならず、違反した場合は交代選手がすぐに入ることができない。

 アイスランド戦では早速、その影響が見られた。

 相手のスローインの場面で再開が遅れ、日本ボールへ変更される場面が発生。冨安健洋は試合後、そのシーンについてこう振り返っている。

「中で『ファイブ、フォー』って言っていたので。選手が言えば実際に取れたので、そこは慣れていく必要があるかなと思います」

 これまでなら流されていた数秒の遅れが、ボール保持権の変更につながる。新ルールはすでに試合の流れへ影響を与え始めていた。 

実際に得点へつながった「10秒交代ルール」

決勝点を決めた小川航基

決勝点を決めたサッカー日本代表の小川航基【写真:田中伸弥】


 さらに象徴的だったのが、交代手続きに関する新ルールだ。

 85分、アイスランドは2枚替えを行った。しかし、1人の選手が10秒以内にピッチを離れることができず、交代予定だった選手はすぐに投入できなかった。

 その結果、アイスランドは一時的に10人でプレーすることになった。

 すると87分、日本が菅原由勢のクロスから小川航基がヘディングシュートを決めて先制。この1点が決勝点となった。

 もちろん、得点そのものがルール変更によって生まれたとは言い切れない。しかし、数的不利の状況が発生した背景に新ルールがあったことは間違いない。

 久保建英も試合後、新ルールの重要性を口にした。

「ルールの改正の部分で、こっちはしっかりルールを守った上で、相手のチームがああやってルーズな部分があると、こっちはチャンスにもできる。いろいろな意味で良いテストマッチになったかなと思います」

 さらに、「日本代表が見せることはないと思うので安心していますけど、個人としては気をつけたい」と話し、小さな判断ミスが大きな代償につながる可能性を示唆した。

森保一監督も実感した新たな課題

サッカー日本代表、森保一監督

サッカー日本代表の森保一監督【写真:田中伸弥】


 一方で、新ルールは日本代表にも新たな対応を求めている。

 森保一監督は試合後、ゴールキックの時間制限について言及した。

「ゴールキックのときにまだみんな構えていない、準備ができてなくて、ロングキックしなければならない状況があった」

 従来であれば味方の準備を待てた場面でも、今後は限られた時間の中で判断を下さなければならない。

 冨安も「ゴールキックのところで僕らが準備できていないときに蹴る状況もあると思うので、そういうときはタッチラインの深い位置に蹴る判断も必要になる」と語っており、新たな試合運びへの適応が求められている。

 また、負傷した選手やその疑いがある選手はプレー再開後1分間ピッチへ戻れないルールも今回のW杯から施行される。

 森保監督は「アイスランドは我々が得点を決めたときに1人少ない状態だったと思います。ああいうことが交代時であったり、怪我からピッチに戻るまでに、これまでのようにすぐタイミングよく戻れるということではなくなる。相手にチャンスになることがないように、新ルールの中で自分たちが対応していかなければいけない」と改めて警戒した。

ルールを制する者がW杯を制する?

サッカー日本代表 交代時 伊東純也

北中米W杯では交代時も勝敗を左右する要素になりそうだ【写真:Getty Images】


 今回のルール改正はサッカーの本質を変えるものではない。しかし、時間管理や試合運び、リスクマネジメントといった部分には確実に影響を与える。

 アイスランド戦では、スローインの遅延によるボール保持権の変更、交代手続きによる数的不利など、新ルールが実際に試合へ影響を及ぼす場面が見られた。

 技術や戦術はもちろん重要だ。しかし、北中米W杯では、それに加えて新ルールをどれだけ理解し、素早く適応できるかも勝敗を左右する要素になりそうだ。

 アイスランド戦の90分は、新ルールへの適応力がW杯での勝敗を左右し得ることを示す実例となった。

(取材・文:竹中愛美)

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