
スコットランド代表戦の三苫薫【写真:田中伸弥】
現地時間5月9日、プレミアリーグ第36節ブライトン対ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズの試合で左太もも裏を負傷してしまった三笘薫。同月15日に発表されたFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)に臨む日本代表には名を連ねることができなかった。
やっぱり三笘薫は偉大な選手だった
日本サッカー界に「三笘薫負傷」の悲報が入って約20日が経過し、左WBや左シャドーは誰が務めるのかという議論はこれまで多くされてきた。当然、森保一監督を含むサッカー日本代表のスタッフ陣も頭を悩ませただろう。
そんな中、北中米W杯に臨む26人のメンバー発表後初めての試合で、同監督は左WBに中村敬斗、左シャドーに伊東純也を抜擢した。3月に行われたスコットランド代表とイングランド代表との国際親善試合の布陣を考えると納得の配置である。
2シーズンに渡りスタッド・ランス(フランス)でプレーしていたこともあって、コンビネーションは抜群。両者が状況に応じて立ち位置を入れ替え、パスワークでアイスランド代表の右サイドを何度も攻略していた。
データサイト『Sofascore』によると、中村の相手陣地でのパスは37本中32本成功(86%)と高い数値を記録。伊東は19本中17本(89%)と揃ってパスの精度が高かったことがわかる。
その一方、ボールを運ぶといった意味でのドリブルでは前者が198.3m、後者は117.9mと多く見られたが、スピード感のあるドリブルは少なかったように思う。
長い時間日本代表がボールを保持していたこともあって、カウンターの機会が少なかったことやボール奪取からの速攻の回数が多くなかったのは事実としてある。
両者それぞれの特徴に目を向けてみると、中村は1対1でのドリブルに力はあるが、直線距離を運ぶスピードや上手さにはやや劣る。一方、伊東は元々サイドを本職にしていることもあって、中央でのプレーに慣れておらず、前方にスペースがないと本領を発揮できない。
これらのことを踏まえると、どの位置からもスピード感のあるドリブルを繰り出せる三笘が、いかに日本代表の大きな武器であったかを改めて思い知らされたのではないだろうか。
4月に行われたイングランド代表との国際親善試合の得点シーンのきっかけは、同選手のドリブルからだった。狭い空間をトップスピードで駆け抜け、一気に前進。最終的には中村からのパスを冷静に流し込み、W杯優勝候補からゴールを奪って見せた。
他にも、前回大会のクロアチア代表戦で見せた相手を置き去りにする長距離ドリブルからのシュートや東京オリンピック(五輪)のU-24メキシコ代表との3位決定戦で見せた中央ハーフウェイライン付近からの直線ドリブルからの決定機など、相手の陣形が整う前に猛烈な速さで打開することで、“ズレ”を生じることができる。
今回のアイスランド戦では、速効性による“ズレ”を生むことができず、停滞してしまった感は否めない。
だが、三笘は北中米W杯に参加することはできない。とはいえ、中村や伊東に同選手と同じプレーを求めるのは難しい。
プレミアリーグ屈指のドリブラーが日本代表から外れたことが、どれだけ同大会に響くのか。
(文:前島大晟)
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