独占インタビュー 西野朗『超攻撃の美学、勝負師の哲学』(前編)【サッカー批評issue 56】

『ガンバ・スタイルを築き上げた指揮官の回想』
昨季でガンバ大阪の監督を退任した西野朗氏。10年におよぶ長期政権の中で築き上げた勝負師としての哲学はいかなるものなのか。今だからこそ話せることがあるはずだ。氏を直撃した。

2012年12月14日(Fri)14時41分配信

text by 永田淳 photo Kenzaburo Matsuoka
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西野朗【写真:松岡健三郎】

(※このインタビューは、2012年4月下旬に行われました)
【後編はこちらから】

退任してから見る今のガンバ

──最近はどう過ごされているのでしょうか?

「最近? 何もしてないよ、プータロー(笑)。毎週スタジアムに行けて、Jリーグの試合を見られるということでは解説をするのが一番良いのかなと思ってはいるんだけど、性に合わないし、伝えるのも下手だしね。現場志向もまだ残っているから、今は無責任に選手の評価をしたくない。だから『フラットに見なきゃ』と思いながら見るようにしている。いろんな感情とか『自分だったら』という目で見ないようにしている。ガンバの試合も『勝とうが負けようが、俺には関係ないチームなんだ』と思いながら…」

──メディア側に浸かってしまうと、「勝負師」としての感覚が鈍ってしまうような感覚も?

「周りからは『いろいろ整理しながら1年充電すればいいじゃん』と言われる。でも、ちょっと離れるだけで勝負勘みたいなものは薄れるね。自分としてはそれが嫌。常に何か勝負をしていなきゃいけないかなと思う。だから『左右どっちのエレベーターが来るかな』ぐらいのちっちゃな勝負はいつもしているよ(笑)。今は勝負することがないからね」

──監督をやっている時の方が苦痛は多いと思いますが、それでも現場にいたい気持ちが強いですか?

「悪い言い方だけど、監督業っていうのはドラッグ性がある。麻薬なんだよ。いつもプレッシャーを感じて、逃げたいと思うような時もある。でもいざ離れてみるとね…。監督をやっている時のオフでも、2月にシーズンインと決まっていても、1月の後半ぐらいには『もう休みは十分。早くグラウンドに』となる。サッカー界も代謝が行われるわけで、若い指導者も出てくるから、早く戻らないとどんどん忘れられていくでしょう。それで『昔の名前で出ています』みたいな感じで取り上げられることになる(笑)。しかも、家の場所が、週末になれば真っ赤になっちゃうところ(浦和)だから、落ち着かない(笑)」

──今季のJリーグはどんな試合を見ていますか?

「結局ガンバの試合を見るよね。見たくないと思いつつも、気になって」

──今季のG大阪について、どのように感じていらっしゃるのでしょうか?

「昨日(J1第7節清水戦3-1で勝利)は良かったね。こうやって良くなっていくとは思っていた。正直なところ、『悔しいけどこれは突っ走るな』と思いながら予想していた。自分も欲しいと思った今野(泰幸)という選手が入って、前線に高さがある選手も入った。(イ・)グノや(山口)智といった主軸は抜けたけど、良い補強をしたし、十分な選手がそろっていると思っていた。ガンバは間違いなく良くなる。監督交代してから良くなる兆しはあるし、みんなが良い時を思い出したと思う」

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