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長友佑都 11年前

長友奮闘も、インテルはクローゼの一発に沈む

text by 神尾光臣 photo by Kazuhito Yamada

高いユーティリティ性に指揮官も太鼓判

 後半26分には果敢にサイドから切り込み、後方から走り込んできたカッサーノへ正確に折り返してミドルシュートを演出する。さらにカッサーノのシュートがバーに弾かれたところに詰めて左足を合わせるが、シュートはGKに弾かれた。

 非常に拮抗した内容で試合は進むが、後半37分にクローゼがインテル守備陣の一瞬の隙をついてシュート。終盤で痛恨の失点を喫したインテルはペレイラを下げてコウチーニョを投入し、それに合わせて長友のポジションは左SBへと移動した。しかし攻撃への高い意欲は変わらず、ロスタイムにもミドルシュートを放ってCKを誘っている。ただゴールは割れず、結局ラツィオに逃げ切られた。

 インテルは敗れたものの、試合自体は互角の内容だった。そして長友のパフォーマンスは非常にポジティブなものだった。「今はどんな相手ともやれる自信がある」と本人が胸を張っているように、プレーの安定感は高くなっている。一対一での仕掛けは言わずもがな、ボールキープ中にルリッチに詰められた時も、落ち着いていなしていた。

 特筆すべきは、そんな高レベルのプレイをどのポジションでも遜色なく披露したことだ。SBであれば守備をより意識し、ハーフであればアグレッシブに前へ出る。ウイングバックをこなした経験を通し、彼自身も急激にプレイの幅を広げている。

 ストラマッチョーニ監督は「ユウトはGK以外のポジションならどこでも出来る」とさえ語っていたが、長友のユーティリティー性は、単に”便利屋”という表現にとどまらないものになっているようにも感じられた。

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