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今季8度目の逆転勝利も、手放しでは喜べないマンUの現状

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

ディフェンスの脆さ以外の課題には光明も

 4分の失点は、中盤でキャリックがトラップミスしたところをニューカッスルの1トップ、バに奪われ、ドリブルで運ばれたのちにミドルを打たれたのがきっかけだ。このシュートはGKデヘアが辛うじて防いだが、こぼれ球を詰めてきたパーチに押し込まれ、あっという間に先制点を許してしまった。

 29分に奪われた2失点目は、左からのクロスをヘディングでクリアしようとしたエバンスが献上したオウンゴール。これはエバンスのクリアミスというより、ニューカッスルの右サイドバックのシンプソンに、まったくのフリーで際どいクロスを入れられたのが問題だった。また、同点に追い付いたわずか4分後という時間帯も悪かった。

 三度勝ち越された68分の場面では、右サイドバックのスモーリングが相手のスローインでオベルダンにあっけなく裏を取られてクロスを入れられ、シセに左足で豪快に叩き込まれた。この場面に象徴されるように、この試合ではユナイテッドの守備陣の軽率なミスや寄せの甘さがいたるところで目に付いた。これでは失点がかさむのも当然だ。

 それでもユナイテッドが逆転できた要因として、後半に入ってファンペルシとエルナンデスの役割分担がはっきりした点が挙げられる。横並びだった前半は、互いの役割分担がはっきりしておらず、ボールを引き出し方も、ポジショニングも曖昧だった。

 だが、後半に入って、ファンペルシがトップ下にポジションを取るようになると、2人のプレーエリアが整理され、ユナイテッドは両サイドからニューカッスルを押し込んでいく。

 58分にはエブラがミドルを叩き込んで2-2。71分にはファンペルシのシュートが一度はGKクルールに防がれたものの、再び左足を振り抜いて3-3。その後の約20分間は、ほとんどユナイテッドのペースだった。

 80分、87分にはいずれもクロスからエルナンデスが決定的なチャンスを外したが、諦めずゴールを狙い続けたストライカーの足元に89分58秒、キャリックからの絶妙なクロスが届いた。スライディング気味に合わせると。ボールはネットを揺さぶった。

 ルーズな守備は課題として残るものの、ルーニーを欠くとバイタルエリア攻略のアイデアが著しく低下するという問題に関しては、解決の糸口が見えたに違いない。

【了】

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