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大学サッカーは実力に見合った評価が下されているか?(後編)

text by 後藤勝 photo by Masaru Goto


決勝進出を果たした早稲田大学ア式蹴球部【写真:後藤勝】

常にブレのない、福岡大・乾監督

 福岡大学の乾監督が言っていることは、前日会見でも、大会期間中それぞれの試合後でも、常にぶれがなかった。

 まとめると以下のようになる。
・藤田直之は卒業生。サガン鳥栖の活躍には刺激を受けている
・夏の総理大臣杯では阪南大学とは2-2PKで敗れている。後半に牟田がイエロー二枚で退場してしまった。リベンジを果たしたい
・2009年のファイナルで敗れた明治大学にもリベンジしたい
・リベンジシリーズを終えたら決勝で「東の王者」専修大学と戦いたい
・去年は脱・永井謙佑。そのときの一年生が力をつけてきた。永井がいたときと同じ戦い方をしようとしても、永井のように走れる選手はいない。185センチ以上の選手がセンターラインに揃い、高さと強さは武器になる。ほかのチームにはないものをお見せできると思う
・去年は一回戦ボーイ(初戦敗退)なので、初戦から、としか言えない。明治さん(二戦目)を考えるよりも初戦のことで頭がいっぱい、一回戦とか準々決勝とかいうよりも、決勝戦が四つある、みたいに思っている。次が明治、その次が中央か阪南になっても、決勝と同じ(レベル)ですから。決勝を四つ、一つひとつ勝つという心構えでいる

 福岡大学は慎重に試合を運び、がまんづよく規律を守ることができる集団だ。4-4-2のブロックを適切なバランスに保つことに腐心し、守備組織を崩さない。攻めてはロングスローを含むセットプレーをことごとくチャンスに結びつける。高さを活かしたサッカーは独特だ。

 どこを見てもバルサのようなサッカーばかりだが、そうではないサッカーがあってもいい、という主張は痛快ですらある。大型の選手が育たないと言われている日本で185センチオーバーのセンターフォワード、セントラルミッドフィルダー、センターバック、ゴールキーパーを送り出すのだという決意は、いまのところプラスに働いている。


ULTRAS WASEDA

「一発勝負が醍醐味。それぞれのチームがいろいろな思いを背負ってここに入っています。大学サッカーの場合はサポーターがおらず(※ULTRAS WASEDAは例外)、応援団が空気をつくりだします。

うちの場合は応援しているやつらがIリーグで日本一(※インディペンデンスリーグ 2012 第10回全日本大学 サッカーフェスティバル優勝、福岡大学A2)。2009年ファイナリストになったときもそうだったので(※第7回大会、福岡大学Asate、引き分けで法政FCと両校優勝)、そのジンクスで夢よ再びという空気をつくってくれている。この勢いに乗りたい(※29番の白坂拓也ほか5人がIリーグ優勝メンバー)。九州から百人の応援団も来る」

 こう乾監督が言うように、福岡大学の団結は強い。しかしそれに「待った」をかけるのは早稲田大学だ。

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