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日本代表 11年前

フランス人ジャーナリストが斬る日本代表「ジャポンはスウェーデンやクロアチアと同じレベル」

text by 田村修一 photo by Kenzaburo Matsuoka

 ベンゼマの負傷がフランスに幸運であったのなら、シルバとアルベロアの負傷退場は、スペインには不運だった。ベルドネが説明する。「交代で入った選手たちは、ファンフランが失点のきっかけを作ったように、みなレベル以下だった。日本同様にスペインは、右サイドが左ほど強くない。またトーレスも、チームの中で生きていない」

 ガトリフはスペインのプレースタイルが抱える、必然的な問題を指摘する。「フィジカルが常に100%でないと、彼らはあのやり方を続けられない。そのためのスタミナが、フランス戦の彼らにはなかった。逆にトップコンディションであれば、スペインは今も無敵のチームだ。誰も彼らからボールを奪えない」

 フランスにとってスペイン戦は、「今後の指標となる試合」(ガドリフ)であった。「だが」とベルドネは言う。「これが新しいフランス代表かと言うと、まだ足りないものがある。とはいえグループが誕生したという印象は受けた。コレクティブなプレーができる本物のグループだ」

日本が明日イングランドに勝利しても驚かない

 それでは日本はどうなのか。ブラジルに大敗した日本が、スペインを相手にどれだけできると、2人は考えているのか。「世界での実績はまだ低いが、スウェーデンやクロアチアと同じレベルにある」とはベルドネの評価だ。「日本がクロアチアを羨む理由は何もないし、EUROに出場してもそれなりにやれるだろう。スペインに勝てるとは思わないが、戦うことはできる。状況次第では戦い得ることを、フランスが証明したのだから」

 ガトリフも少し辛口ながら、可能性を感じている。「ブラジルW杯では、グループリーグ突破が現実的な目標になるだろう。ベスト8も可能だが、アフリカ勢にはまだ少し分が悪い。また、スペインやドイツ、アルゼンチンとは明らかな差がある。しかし明日、日本がイングランドを破っても驚かない」

 だからこそザッケローニに時間を与えるべきだとベルドネも強調する。「彼の指揮のもと、チームは安定して成長している。長期的な展望に立ってチームを構築し、多くをもたらしたのは間違いない。98年のフランスW杯に優勝した、エメ・ジャッケのチーム作りを髣髴させる。12年まで彼が監督を続ければ、日本はとても面白いチームになるだろう」

【了】

初出:サッカー批評issue59

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