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Jリーグ 11年前

【番記者が補強戦略を分析】鹿島アントラーズは覇権を奪還できるか?

text by 田中滋 photo by Kenzaburo Matsuoka

ダヴィ、中村は鹿島に何をもららすのか

 ダヴィについては言うまでもないだろう。J2とはいえ38試合で32得点。マルキーニョス退団後、決定力不足に悩んできた鹿島にとって待望のストライカー獲得だ。さらに縦への推進力があるところも魅力。

 昨シーズンは、ドゥトラがその役目を担っていたが、本来であれば2トップでボールを縦に運べるのが一番だ。大迫勇也とのコンビネーションに期待はふくらむ。

 中村の獲得も鹿島にとっては重要なピースだ。本山雅志がフル出場できなくなって以降、鹿島の中盤にはドリブルが極端に少なくなっていた。遠藤康もドリブルを得意とする選手だが右サイドからのカットインなどを持ち味としている。その意味では中央から崩せる中村充孝を獲得できたことで、攻撃のバリエーションは豊富になるだろう。

 前野についてもその攻撃力は折り紙付きだ。自ら仕掛けることもできるレフティーがJ1でどの程度の守備力を発揮できるか未知数な部分ではあるが、クラブには「守備はあとからでもなんとかなる」(鈴木満強化担当)という考えがある。とにかく前に行くことが求められるはずだ。

 さらに、その移籍により大きな大きな穴をつくった野沢が鹿島に復帰することが発表された。これにより、鹿島が鹿島らしい戦いができなくなってしまった最大の要因が解消される。

 まずは、中盤の流動性が復活するはずだ。中盤が流動的に動くということは、ボールを奪われたときのポジションが本来の位置とはズレることを意味する。つまり、流動的に攻撃を仕掛けることよりも、奪われたあとにバランスを崩さずに守備に移ることの方が難しいのだ。そのバランスを取れるのが野沢だ。

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