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酒井高徳インタビュー ~ドイツで花開いた才能~(前編)

text by 了戒美子 photo by Ryota Harada

Jリーグではやりづらさを感じていた

――日本人と一緒にプレーするときはどうでした?

酒井 日本は早くボールを味方に渡したり、自分から(海外ほど)ガツガツいかなかったり、より組織的なサッカーをするので、少し合わない部分があったのかもしれません。ただそれよりも、自分が日本人を相手にした方が難しいと思いました。日本人はしっかり守っているときは、勢いで来る相手に冷静に対応できますから。

――意識の面だけじゃなく、実際のプレー面でも壁を感じたということですね?

酒井 はい。なにかやりにくさというのは感じていたんですよ。Jリーグだと、ブロックを作ったりしてDFがあまりアタックに来ないじゃないですか。僕はテクニックがないタイプだと思っているので、距離をとられると、パスするか強引に行くかしかなくなってしまうんです。選択肢が少なくなって、あまり目立たないというか無難なプレーをしているように見られる。でも自分はそういうサッカーをしたいんじゃなくて、もっと前に行ったり、ドリブルしたりしたかった。

 日本では自分でやるっていうよりも、周りに預けて自分が動き回ってまたもらうっていうのをやろうとしていたので、わりとオーバーラップとか3人目としての動きを意識してプレーしていました。ドイツでは相手のサイドバックでさえしっかり来ます。サイドハーフにもチェイスしてくる。そのシチュエーションで駆け引きが出来るようになってくると、キュンて相手をかわす日本人のアジリティやスピード感が生きてくると思うんですよ。去年はそういうのが上手くいっていたんですよね。

――酒井選手の特徴の一つに、フィジカルの強さがあると思います。子供の頃から、それを意識したことはありますか?

酒井 どうなんですかね? 中学生くらいまでは自分の体が外人っぽいとか、強いとか全然思わなかったです。ドリブルが好きで意識してやっていて、スピードで勝負していたので。ユースに入ってからはDFになったというのもあって、サッカー選手として土台になる筋トレをすると、「自分はそういうところで勝負するのかな」とだんだん気づいてきたんです。

 それに体力的なところとか、人より頑張れるっていうのは元々自信がありました。みんなが辛いときに自分がガッといけたり。そういうアグレッシブさは、サイドバックをやる中で気づいたし、周りにも言われましたね。

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