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酒井高徳インタビュー ~ドイツで花開いた才能~(後編)

text by 了戒美子 photo by Ryota Harada

自分の思ったことをしっかりと伝えたい

――明確な目標はないとしても、次にどこか別のリーグでやりたいとか考えたことは?

酒井 最初の話に戻りますけど、日本は日本の、ドイツにはドイツのサッカーがあって、それぞれ良いところも悪いところもあるし、他のリーグもそう。それは経験してみたいです。 ドイツは激しくプレッシャーにいくけど、日本は違うアプローチをする。じゃあイタリアやスペインはどうなのか、と考えたときに、「こういう攻撃をしなきゃいけない」とか、自分の知らないコンセプトが出てくると面白いじゃないですか。

――だからヨーロッパリーグ(EL)なんかは楽しいんですよね。実力の差は別にして、新たな考え方に出会えたりする。

酒井 カウンター一辺倒のチームだったら、守備陣はしっかり、本当にしっかり守る必要がある。もし自分がそういうチームにいて、そのサッカーが合うかと言ったらそうじゃないかもしれない。我慢強いサッカーをするためには守備が良い選手とか、そこから出て行ける選手が合っていると思うし、自分は守備は得意じゃない。だから、「そういう国のリーグではあまりサッカーしたくないな」と思いはしますが考えること自体は楽しいですね。

 例えばバイエルン。あれだけ強くて、守備も出来て、サイドバックも攻撃に思う存分力を発揮して、周りもカバーしてくれる。そういうサッカーに出会ったら、「ここでやってみてーなー」って思うだろうし。自分の知らないサッカー観を初めて知ったときには、それに挑戦している自分を想像すると楽しそうに見えるというか。そうなったときは、「こんなことが出来るようになりたい」と近い目標が明確にできるのでそれに向ってやっていける。

――新鮮さが必要なんですね。

酒井 そうですね。昨季結果が出たのも、まったく違う環境でゼロから自分に必要なものを何から何までやっていったので、色んなものを吸収できて新しいことに挑戦できたからだと思います。

――それにしても、酒井選手は自分の意見を口にするのがうまいと思います。

酒井 でも長く話すと、自分の中で何話しているのかわかんなくなってきますけどね(笑)。

―― そのわからなくなる感じが少ない方だと思いますよ。

酒井 ホントっすか? でも意識しているからだとは思いますよ。いつも脱線し始めたなって思ったら、もう一回戻って話を切るんで。 サッカー選手としてしっかり話せる人間になりたいんですよ。長谷部(誠)さんとかもそうですし。だから、必要ないことをべらべらずーっとしゃべっているんじゃなくて、自分が思ったんだったら思ったことをバッと言えるのが一番。でも、伝えたいこともあるので、それも含めて短くする。

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