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酒井高徳インタビュー ~ドイツで花開いた才能~(後編)

2011年1月にシュツットガルトへ新潟から期限付き移籍し、センセーショナルな活躍を見せた酒井高徳。先日シュツットガルトは買い取りオプションを行使し、完全移籍を果たした。酒井はなぜここまで適応することができたのか。自ら感じたドイツと日本の違い、そして内面的な理由を本人に語ってもらった。

text by 了戒美子 photo by Ryota Harada


酒井はシュツットガルトでサイドバックとしての地位を確立した【写真:原田亮太】

【前編はこちらから】 | 【フットボールサミット第9回】掲載

ドイツ代表入りの真相

――さて、ザッケローニ体制になってから日本代表へ選ばれることも多くなりましたが、率直に代表での自分をどう捉えていますか?

酒井 いつも力不足だなって思うことが多いですね。代表に選ばれるっていうことはそれなりのものを期待されているとは思います。ただ、定期的に呼ばれるようになって、レギュラーメンバーと同じくらいのレベルになっていると感じたら、「試合に出場したい」という気持ちになれるんですけど、まだそんなレベルではないです。だから、代表のことをいつも考えているというのではなくて、選ばれたときは100%頑張る、普段はこっちを頑張るという風に考えています。

――代表を闇雲に狙うのではなくて、そうやって視野に入れることで、より上のステージを目指すことが出来ますね。

酒井 そうですね。今まではそこに行くことすらなかったわけですから。呼んでもらえて色んなものも吸収できました。でもさっきも言いましたが、サッカーが違うので、シュツットガルトに帰ってきた時も同じように表現できるかどうか。代表とクラブ、両方が合わさってどっちでも同じレベルの力を発揮出来るようになったら、どちらでも活躍できると思います。

――そういう「適応性が高い」と仰っていた本田選手とかに話を聞いたりとかは?

酒井 してないけど、本当はすごく聞きたいです。どうやって練習に取り組んでいるか、とか。同じ土俵にいるサッカー選手として聞くことじゃないかもしれないですけど、オレはすごく聞きたいんですよ。どんな感じで代表とチームと分けているのか、とかも。

――ところで、ドイツ代表入りの可能性が一時期話題になりました。ことの真相はどうだったんですか?

酒井 シュツットガルトのとあるドイツ人の担当記者がオレのプレーをものすごく気に入ってくれて、「左はラーム、右はお前だ!」って褒めてくれたんです。「今すぐ代表監督に電話をかけて推薦したい」って言ってくれて、やっぱり1人の選手として純粋に嬉しかったです。ただ、そんな可能性があるっていうこともその時に知ったくらいで、「嬉しいけれど、僕は日本代表以外考えていない」と話したんですよ。

 それで一旦話が終わったと思いきや、五輪とその後の代表で出られなかったことと合わせて、またその人が聞いてきて記事にしたのかな。でも、はっきりそこでも言いましたし、日本以外の代表は考えたこともないですよ。(※9月のキリン杯UAE戦出場により可能性そのものが消滅している)

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