松田直樹という生き方 ~第3回 岡ちゃんなら1回くらい呼んでくれるかなと思った~

『魂のフットボーラーが語る過去・現在・未来と中田英寿』
2011年2月21日に発行された『フットボールサミット第2回』では、松田が横浜F・マリノスから戦力外通告を受け、移籍先が決まっていないタイミングでロングインタビューを行った。該当号のフットボールサミットは中田英寿を特集したものだが、松田直樹の人となりが非常に良く表れたインタビューとなっている。今回改めて、ウエブにて再掲させていただく。

2013年01月20日(Sun)9時56分配信

text by 宇都宮徹壱 photo Tetsuichi Utsunomiya
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松田のいう「カッコイイ」とは?

――ジーコ監督時代の06年ワールドカップには、絶対に松田さんが必要だったと私は今でも考えています。それは戦術面というよりも、チームに一体感を与えるという意味で。もし23名のメンバーに松田さんがいたら、少なくとも中田さんがチームの中で孤立することはなかっただろうし、柄でもない「チームのまとめ役」を引き受けることもなかったわけですよ。ブラジル戦後、彼がひとりで倒れている姿はご覧になりましたか?

松田 どこだったかは覚えていないけど、TVでは観ましたね。何で(誰も中田のところに)行かないんだろうとは思いました。サッカーって、戦術とかいろいろありますけど、本当はチーム一体となって気持ちで動けるかどうかなんですよね。あのチームには、それが感じられなかった。今さら言うのは卑怯なことかもしれない。でもジーコはそれを望んで、そうしたわけじゃないですか、協会も。それは分かり切っていたことだったし、ああなることは予感していましたね、自分の中では。

――その後、中田さんから衝撃的な現役引退表明がありました。どう受け止めましたか?

松田 まあ「らしいな」とは思いました。前から、若いときからかな。「サッカー選手よりも稼げる仕事があれば、そっちに行く」みたいなことは言っていましたから。そういうやつだったので、そうなるのかなと。それに、サッカー以外にもいろんなことに興味があるやつだから。オレは「サッカーしかない」という感じだから、そういうところも尊敬していましたし、あり得る話だなと。だから別に「ああ、辞めるんだ」って感じでしたね。

――サッカー業界の中には、サッカー以外の世界に行ってしまった彼の価値観を認めない人も少なくないように思うのですが、松田さんはいかがですか?

松田 それは関係ないでしょ。サッカーに正解ってないわけじゃないですか。試合でも、人生でも。だから他人がどう言おうと、あいつが決めたことだし、誰かが責任をとってくれるわけでもないし。

――その後の「旅人」になってからの中田さんについては、どんな印象ですか?

松田 「ああ、まだTVに出ているんだ」とは思いましたけど(笑)。やっぱ、出たがりなのかなあと(笑)。

――彼の場合、セルフプロデュースというか、自分の見せ方に関して、ものすごく計算しているわけですが、そういう面も「らしいな」と思いますか?

松田 どうなんだろう。そこは「らしいな」とは思わない、「そうしたいんだろうな」とは思うけど。でも、人それぞれだし、自分も「こいつ、憎たらしいな」とか見ていないから。そいつの好き好きですから、何とも思わないけど、でもオレは「なんか、カッコイイな」と思って見ています、昔から。どんな選手でも、いろんな職業の人でも、自分と絡んだり仲が良かったりするやつは、みんなカッコイイと思うし、尊敬していますから。

――松田さんのいう「カッコイイ」って、どういうイメージなんですか?

松田 どうなんだろうなあ。男臭さがあったり、そこに信念があったり。陰で文句を言っているやつが一番カッコ悪くて、そのまんまやっているやつはカッコイイなと思いますね。どんな仕事でも、お金を稼ごうがそうでなかろうが、カッコイイやつはいますよね。

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