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2013補強診断 11年前

2013シーズンのJリーグを占う。各クラブの戦力補強診断 ~サンフレッチェ広島編~

text by 編集部 photo by Kazuhito Yamada

復帰の岡本、昇格の野津田に期待


サンフレッチェ広島【写真・山田一仁】

 今季から加入する選手の内、昨シーズン最も貴重な経験を積んだのは、鳥栖に期限付き移籍していた岡本知剛だ。岡本は2011シーズンに鳥栖へ加入すると、主にボランチとして34試合に出場しチームのJ1昇格に貢献。そして迎えた昨シーズンは、昇格組ながらフィジカルを前面に押し出すスタイルで躍進し、岡本はその中で26試合に出場した。

 広島と鳥栖のサッカースタイルはかなり異なるものだが、ユースから昇格してきた岡本にとっては、そうした異質のサッカーに触れたことが大きな経験になった筈だ。広島のボランチは青山と森崎和のコンビがポジションを守っているが、今季はACLと並行して戦うだけに、岡本が多くの出場機会を得られれば、それだけチームは楽に戦えるようになる。愛媛FCで経験を積み、チームに戻って開花した高萩や森脇のような存在となれれば面白い。

 ユースから昇格してきた野津田は、既に昨年トップで5試合に出場している。出場時間は僅か26分に過ぎないが、視野の広い司令塔然としたプレースタイルは非凡なものがある。広島の2列目には森崎浩、高萩、石原など質の高い選手が並んでいるため、レギュラーを奪うのは簡単ではないだろうが、ポジション争いに割って入るだけのポテンシャルは持っている。今季の広島では、注目度の高い若手の筆頭格と言えるだろう。

 四日市中央工業高校から加入する浅野拓磨は、昨年の高校選手権で2年生ながら得点王に輝いている。身長は172センチと小柄ながら、スピードとキレのあるドリブルを武器としている選手だ。ACLも含めて考えると、佐藤寿人が公式戦全試合に出場し続けるのは現実的なことではないから、浅野も出場機会を得られるチャンスはあるだろう。

 この他、韓国の春川機械工業高校から攻撃的な仕事を得意とするキムジョンソクと、同じく韓国の高麗大学から左サイドを主戦場とするパクヒョンジンの加入が決まっている。

 復帰した岡本とユースから昇格した野津田に関しては問題はないが、広島は独特のサッカースタイルで戦い続けているチームだけに、その他の新加入3選手は、まずチームの戦い方に慣れることが先決だろう。昨年の千葉や石原のように、すぐにフィットする可能性もゼロではないが、チームとしても即戦力として考えている訳ではない。逆に言えば、岡本や野津田は、開幕から戦力として働いてくれないと、チームの厚みが増していかないと言える。

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