フットボールチャンネル

吉田麻也が語る「激闘の軌跡」 ~アジアカップで得た収穫と課題~(後編)

text by 中田徹 photo by Kenzaburo Matsuoka

ザッケローニに見抜かれた

――ザッケローニ監督からは何か言われているのですか?

「監督からはずっと『注意力』『注意力』と言われています。僕も1試合に1、2回は出るイージーミスとか、そういうのこそ課題だと思っていました。監督も最初の合宿を終えるときにはそれを見抜いていました」

――でも国内合宿の5日間でわかるものですか? フィジカルと戦術中心のメニューだったと聞いています。そこで選手の集中力の欠如を見抜くのはすごくないですか?

「早いなと思いました。よく選手を見てます」

――どこでバレたと思います?

「例えばボール回しの最初の1分とか、初めてボールを触るときのイージーなミスとか……じゃないかなと僕は思うんですよね」

――すごい監督ですね。

「はい、僕はそう思いますよ。だから最初、『イタリア人、日本知らねえよ』『契約も2年でやる気ないんじゃないか』と言われていたみたいですけど、それは違うなとすぐそのときわかりました」

――イタリア人が日本に来て馴染めるとは思っていなかった。

「確かにイタリア人はイタリアでというイメージはありますが、ザッケローニ監督は日本食は好きだし、味噌汁も飲んでたしいろいろトライしていた。トライしようとするチャレンジ精神はすごくいいことだと思います。僕もそういう人を見ると、その国の人たちは応援しようとかサポートしようとか思うじゃないですか。

 名古屋のときならフローデ・ヨンセンというノルウェーの選手がいて、箸、納豆、味噌汁と何でもチャレンジして、蕎麦とかうどんとか大好きなんですよ。富士山にも登って京都へは僕と行きました。そういう選手を見たり、逆にぜんぜん順応せず外国人同士で固まるのも見てるわけじゃないですか。どういう選手が海外で成功するかというのがなんとなく僕の中である。もちろんフローデのような選手が成功すると思う。フローデが清水へ移籍した次の年、名古屋のサポーターのところに行ったらみんなヨンセンコール。彼の人柄は僕らにもサポーターにも伝わる。そういうのが尊敬される理由かなと思います」

――そういう要素がザッケローニにもある。

「はい、そうだと思います」

【次ページ】空いた時間の使い方
1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top