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吉田麻也が語る「激闘の軌跡」 ~アジアカップで得た収穫と課題~(後編)

text by 中田徹 photo by Kenzaburo Matsuoka

空いた時間の使い方


吉田麻也【写真:松岡健三郎】

――カタールは「世界でもっとも退屈な国」といわれる。その一方で日本代表の選手は海外遠征でもあまり外出しない選手が多い。カタールでの時間のつぶし方は?

「僕は毎日、川島さん、前田さんと散歩してましたよ。だから毎日、高層ビルを見たり、ちょっと裏の路地に行くと生ごみが捨ててあって臭かったり。

 僕は行った国、行った町とか見て回るのが好きなんで、楽しかったです。毎日散歩して、お茶して川島さんや前田さんの話を聞けるだけで僕には大切な財産になる。川島さんはこっちでも話をしますけど、前田さんとかなかなか今まで話したことがなかった。

 僕は名古屋のときから年上の選手と一緒にいることが多かった。バスの中では藤田さんの隣に座りに行って、そこに定着してしまったんですがやっぱり緊張しました」

――藤田さんはおしゃべり好きだから、若手が来てもウェルカムだったでしょ(笑)。

「ウェルカムなんですけど藤田さんが横にいたら寝れないですよ。万が一、バスに乗ってすぐ寝ようものなら『なんで寝てるの? お前、この時間、何だと思ってるんだ』みたいな。でも、そのおかげでよくしてもらえるようになりましたし、いろんな話も聞けるようになりました。

 寝るのも大事ですが、家でも寝れます。散歩隊もそれは一緒。朝寝たいのはわかります。でも時間はたっぷりあるんだから、夜じゅうぶん寝ることが出来る。それよりそういう人たちの話を聞いてみたいなと思っていました。朝起きるのがつらいこともありましたが、散歩隊はがんばりました。

 ブログも書いてました。でも難しいですね。自分のプレーがよくないと書きづらい。それでもみんなが楽しみにしてくれているのならブログを書きたい。難しかったですよ。特に退場した後は。もっとすごいぶあーって誹謗中傷がくるかと思いました。だからホントによかったというか、すごいみんな応援してくれてるなという感じはありますね。ファンのコメントは励みになりました」

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