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改心を果たした(!?)天才の誓い アントニオ・カッサーノ インタビュー(前編)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazuhito Yamada


アントニオ・カッサーノ【写真:山田一仁】

もう二度と我々は“カッサナータ”を見ることはできない?

――これまでにない重大な責任を今の君は負ったわけだしね。

「そうなんだよ。この俺も遂に親父だからな……。もう今までみたいなバカな真似はできないってこと、それくらいはこの俺にだって分かるって(笑)」

――つまり、もう二度と我々は“カッサナータ”(= Cassanata。カッサーノが犯す暴挙を指して、ファビオ・カペッロが命名)を見ることができないと? それはそれで寂しい気がしないでもないんだが……。

「それは俺も同じだよ、というのはもちろんジョーク(笑)。とにかく、ホント冗談抜きでここミランでもうアレはできないって。確かに俺は本物の“暴れ馬”で、だからこそこれまで数多くのカッサナータをやっちまってきたんだけど、でもここミランに一歩足を踏み入れた瞬間に“ありゃりゃ、ここは何か違うぞ……”ってね。

 周りを見ればあのイブラやセードルフが、それにピルロやネスタ、アンブロシーニやガットゥーゾたちが、つまりあんなにも偉大な選手たちが尚も勝利に飢えて、とにかくひた向きにトレーニングに励んでるわけでね。それを目の当たりにして、いまだ何ひとつ勝っていない俺が怠けるわけにはいかないだろ?って真剣に思ったわけよ。

 もちろん彼らの凄さはトレーニングに限らなくて、取材の受け答え方から食事や体調管理まで含めてピッチの外でもまた完璧なんだよ。要するに、何も語らずしてこの俺にミランの一員になることの意味を彼らは教えてくれたわけ。というわけで、残念ながらもうこの先にカッサナータを見ることは出来ないってことだね(笑)」

――それでもまた“やっちまった”とすれば?

「その時は速攻で“辞表”を提出するよ(笑)」

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