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改心を果たした(!?)天才の誓い アントニオ・カッサーノ インタビュー(前編)

17歳でセリエAデビューして以来、数々の問題行動でサッカー界を賑わせてきた天才、暴れ馬、アントニオ・カッサーノ。サンプドリアでスランプを脱すると、2010年12月にACミランに移籍し、少ない出場機会ながら結果を残してスクデット獲得に貢献した。「ミランが俺を変えてくれた」と彼は語るが…。

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Kazuhito Yamada

 マンチェスター・シティに在籍する問題児、マリオ・バロテッリのACミラン移籍が発表になったが、現在インテル・ミラノで活躍する元祖“問題児”アントニオ・カッサーノも、ACミランで自らのパフォーマンスを取り戻した。今回はカッサーノがミラン在籍時に行われたインタビューを掲載する。バロテッリもカッサーノと同じように、ミランで“再生”されるのだろうか?

【後編はこちらから】 | 【欧州サッカー批評4】掲載


俺は確かに変わったと思ってる

――アントニオ、まずはこの質問から始めさせてもらいたいんだが……。

アントニオ・カッサーノ「OK、ただちょっと待ってくれ。今日の俺は機嫌がいいし、なのでもちろん何だって聞いてもらっていいんだが、ただ悪いけど難しい話だけは勘弁してくれよな。たとえば戦術がどうのこうのとか……(笑)」

――もちろんだよ(笑)。というわけで、まず聞いておきたかったのはこれ。ミランにとって18度目ながらも君にとっては“初のスクデット”これを手にした今の率直な感想とは?

「そりゃーもちろん最高だよ。モウ(ジョゼ・モウリーニョ)的に言うところの“ティートゥロ”(イタリア語で正しくは“ティートロ= Titolo”)を獲ったんだしな(笑)。しかも他でもないインテルを真下に抑えての優勝だし。最高なのは当たり前だろ? まぁ確かに思うような出場機会を俺自身が得られたわけじゃないんだけど、それでも出れば俺は試合を決めるアシストを華麗に何発も繰り出し、だけじゃなく貴重なゴールも決めてみせたわけでね。

 要するに、たとえ短いプレー時間であっても流石の俺は天才の片鱗をみせつけてやったんだぜ、と(笑)。とまぁ、もちろんそれってのは冗談だけど、とにかく大事なのはこの俺が遂に、長い道程を経てようやく“ここに辿り着いた”ってことでね。このミランという偉大なクラブの一員になって、その実際を中から知ることで俺は確かに変わったと思ってる。ミランが俺を変えてくれたってこと。

 何てったってミラン以上のクラブは世界中のどこ探したってないはずだからな。何から何まで完璧にオーガナイズされてるし、でも本音を言えばこの俺にしてみると『ちょっと完璧過ぎじゃねぇの?!』ってとこもあるんだけどね……、まぁそれはいいとして、たとえばアレ見ただろ? あの俺の入団会見、ドルチェ&ガッバーナの超エレガントな黒いスーツに真っ赤なネクタイのいかした俺。自分でもまさかあんなにサマになるとは思ってなかったくらいでね(笑)。

 とまぁ、そんなミランだからこそ俺は、それこそ例の会見の席で言った通り、『ここが最後のクラブ』と思ってるんだよ。言い換えれば、正真正銘の最後のチャンス。ここで失敗するようならもう俺に次はない。そう確信してるし、またそう本当に心から願っているんだ。失敗しないための要素がミランにはすべて揃ってるし、ここでまたやっちまうようならもう俺はどこかにぶち込まれるしかないってことになる」

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