インタビュー『高橋秀人、サッカーを探求する』(前編)

2013年02月16日(Sat)15時30分配信

text by 西部謙司 photo Kenzaburo Matsuoka
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抽象と経験値

「こういう話、大好きなんですよ」

 ホワイトボードを使ったり、矢印を入れたりしながら戦術を考えるのが好きだという。選手や監督の中には、“机上論”として嫌う人も少なくない。ポポヴィッチ監督も嫌いらしい。

 ホワイトボードや戦術板は、実際にピッチで起こる出来事を抽象化したものだ。

 選手を表しているマグネットの大きさと、ホワイトボードに描かれているピッチの広さは全く比率が合っていない。選手は動いているしボールも動いている。現実とは全然違っている。目の前の出来事に経験的に対処するなら、ホワイトボードは役に立たない。

 ただ、物事を抽象的にとらえる能力があれば話は別だ。「自分には役立ってますね。自分がボールを持ったときに剥がす力はないかもしれないけど、ポジショニングで相手のプレスもかいくぐれるかなと思うんです」

 抽象が理論、セオリーを育て、それは経験値との葛藤も生む。高橋は、東京学芸大学で理論を学んだ。選手としてもユニバーシアードに出場し、FC東京の強化指定選手になるなど経験を積んでいるが、プロとしてプレーしたのはまだ3シーズン。理論と経験の間を往復しながら急成長を遂げてきた。


【写真:松岡健三郎】

――センターバックとボランチ、どちらがやりやすいですか?

高橋 加入当初は、センターバックで勝負したいという気持ちがすごく強かったんです。攻守に運動量が求められるボランチは、自分には厳しいかなと思っていたので。広大なスペースでの1対1で、スピードのある外国人選手と対峙すると間を空けられたり、剥がされてシュートを打たれてしまう。小平でのトレーニングのときにも、そういうことがあったんです。

 一方で、センターバックとしてのビルドアップやラインコントロールは通用していた。ところが、大熊監督がボランチで使ってくれて、少しずつフィットしてきました。セントラルMFではなくて、ボランチとかアンカーですけど。理想は、4バックと3バックのセンターができて、ボランチもできる。どれもそつなくというレベルではなく、すべてをハイレベルでやれる阿部勇樹さんが理想です。

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