いわゆる『俺様キャラ』とは違う
本田が『持ってる』という言葉を使ったのは2010年6月15日(日本時間)、ワールドカップ南アフリカ大会初戦のカメルーン戦で1‐0と勝利した後だった。決勝点を挙げた本田はテレビカメラに向かって言ったのだ。「昨日(6月13日)は誕生日でしたし、まあ(俺は)持ってるな、と」
関東地区で最高視聴率49・1%を記録した試合のヒーローの台詞は、1年以上経過しても記憶から消されることはなかった。
西村さんは正直に教えてくれた。
「ミンティアと、CMに起用する人との(イメージの)マッチ度ということは、最初あまり考えていませんでした(笑)。『爽やか』であることよりも訴求したいポイントがあったからです。ミンティアのようなタブレット菓子は、常備性や携帯性をユーザーの人が重視します。そこを端的に言い表す言葉が『俺は持ってる』でした」
だが、本田の言葉は、字面だけを取れば傲慢ともとられかねない危険性も持つはずだ。
「いわゆる『俺様キャラ』とは違うと思ったんです。それは本田さんが関西人ならではなのか、どこか憎めないというか、愛嬌のある部分が出るんですよね。そのツッコミどころが出てしまうというのがポイントでした。そこがあったから決めたんです」
同じ関西出身の西村さんには本田の愛すべき味のあるキャラクター像がハッキリと見えていた。その味を生かそうと思えたことは洞察力の鋭さと言えるだろう。
「この商品の裏コンセプトに合致したと思います。ミンティアは100円菓子という庶民的な食べ物であって、格好を付けて持っているものじゃないんです。だから親しみがあって身近な感じを大切にしています。『格好いい』だけじゃなくて『格好おもしろい』というところがCMの裏に隠されたコンセプトなんです」
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