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日本代表 11年前

W杯予選はヌルい!? サポーターが徹底討論

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka

代表を取り巻く環境の変化

――それはクラブでも一緒ですか?

植田 選手との信頼関係を作る上で、アウェイは大事。ヌルいとか言われるけど、濃い奴は昔からさらに濃くなってる。昔は濃い奴しか見られなかったしね。100%オレンジジュースが、今は10%とかの飲みやすいジュースになっているのかもしれない。だけど時代は繰り返すし、そういう子が残ってくれればいい。人がいなくなったって、その席の分売れてまた人が入る。努力しなくなればまた空席が出るけど、そうするとやんちゃな男の子たちが出てくるし、そこに憧れる奴も出てくる。ボカだってそうでしょ?

 そうですね。変わりましたね。アルゼンチンも同じですよ。84年にW杯を取るまでは、代表の雰囲気なんか全然ダメですよ。

――そうなんですか!?

 ボカやリーベルはさっき言ったようにすごかったですけど、昔のアルゼンチン代表はね。今はアグエロとかメッシとかがいて、日本みたいに「負けないでしょ?」みたいな雰囲気になって来ていますね。客層も違う。クラブを応援するのと代表を応援する人たちは違う。

植田 日本代表の試合って普通に考えて、日本人全員が応援してるでしょ? なんで「応援する人はゴール裏」という発想になるのかな。オレらの中では『スタジアム街論』というのがある。東京では山の手で遊ぶ奴も、銀座で遊ぶ奴も、新宿で遊ぶ奴もいろいろいる。自分に合った場所で遊んでいるだけで、たまたまオレたちの遊び場がゴール裏というだけ。その中には、入っちゃいけない路地裏があったりする。なのに「応援する人はゴール裏」「応援しない人はメイン・バックで」になるの? 全員応援すればいいと思わない? 97年頃ってチケット争奪戦もすごくて、みんな代表をW杯に行かせたいという思いが強かった。ニッポン・コールでスタジアムが盛り上がっていた。すげえ鳥肌ものだったよ。

豊川 僕が97年の予選を体験したのがちょうど中学校2年生の時で、五十嵐さんとか朝日さんがいらっしゃる現場で一緒にやらせてもらいました。あの空気は衝撃でしたね。

植田 オレ、失明しそうだったもん。紙吹雪が3分くらい舞っていて、照明が反射してキラキラ光って、目が見えないくらい。韓国戦かウズベキスタン戦のときかな、隣でやっていた大学野球か何か、紙吹雪がいっぱい入って中断したのよ。高速にも紙吹雪が行って。すごい量だったから通行止めになった。で、オレは警察から呼び出しを受けて始末書を書かされた。サッカー協会に行けって言われて。

一同 (笑)。

【了】

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