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レアル・マドリーに“横綱相撲”を許した、ガラタサライのお粗末な戦略

text by 北健一郎 photo by Kazuhito Yamada

格上に対する戦い方としてはお粗末だった

 しっかりとパスをつないで、トップ下のスナイデルを起点にしながらチャンスを作っていく。実に王道的なサッカーだった。ただ、王道のサッカーで勝つには、個の実力で相手を上回っていなければ難しい。

 レアルとすればガラタサライが正面からぶつかってきてくれたのは“ありがたかった”はずだ。

 さらにガラタサライはマイボール時にダイヤモンド型のサイドMFが中央に寄ってくる傾向が強かった。空いたサイドはサイドバックが上がってくるのだが、このとき、レアルの両ウィング、C・ロナウドとディ・マリアは高い位置をとっている。

 ボールを奪われたとき自陣には広大なスペースがあるうえに、最も危険なアタッカーであるC・ロナウドとディ・マリアがフリーになっている……。これではレアルに「どうぞ攻めて下さい」といっているようなものだ。

 レアルの2点目が決まるのは時間の問題だった。

 29分の2点目は右のエッシェンからのクロスにC・ロナウドが左から中に入る動きでオトリになって、ファーのベンゼマが決めたもの。2-0で前半を折り返すと、後半にもフリーキックから途中出場のイグアインが3点目を入れて、3-0で1stレグを制した。

 正直、“5-0コース”になっていてもおかしくない試合だった。ガラタサライの出来が特別にひどかったとは思わない。実際にレアルの前からのプレッシャーをかいくぐってパスをつなぐシーンもあった。しかし、格上に対する戦い方としては、あまりにもお粗末だった。

 ガラタサライがベスト4に勝ち上がるには、2ndレグで4点以上を決めて勝つことが条件になる。サッカーに絶対はない。それでも、レアルはよほどのことがない限り、ベスト4行きを決めるだろう。

【了】

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