覚醒した天才・柿谷曜一朗。“セレッソの8番”が背負うエースとしての使命

2013年04月12日(Fri)11時11分配信

text by 小田尚史 photo Kenzaburo Matsuoka
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得点から逆算したプレーが相手に脅威を与えている

 2つめの“技”に関しては、ここで改めて記す必要もないくらい、彼の技巧は世に知れ渡っている。10日に行われたFC東京とのナビスコカップ予選第4節でも、相手の体重移動を崩すドリブル突破やワンタッチでのパス交換、得点にこそならなかったがDFからGKまでかわしてのドリブルシュートなど、技術の高さを遺憾なく見せつけ、何度も場内を沸かせていた。

 4月にしては寒すぎる気候の中、駆け付けた7,296人の観衆にも、「今日、来てよかったな」と思わせるに値する素晴らしいプレーだった。

 意識がゴールへ向かい、その技巧が相手にとっての脅威になっていることも現在の柿谷の特徴である。得点から逆算したシュートや崩し。トラップ一つとっても、シュートに繋げる姿勢はハッキリと伝わる。

 J1第5節の鹿島戦で、GKのキム・ジンヒョンのキックをトラップしてシュートし、鹿島GK曽ヶ端準を脅かした場面などは究極の形とも言える。

 実際、「ジンヒョンには、『ペナ(ルティーエリア)くらいまで蹴ってくれ』と言っている。『飛距離を伸ばせ、そのためにハムストリングを鍛えろ』ってね(笑)」とキム・ジンヒョンに注文。キムも、「柿谷はどんなボールでもキープできるから、まずはアバウトに彼を目掛けて蹴る時もある」とそれに応じる。

 また、柿谷の得点後のコメントでは、「最初は~しようと思っていたけど、状況を見て~した」といった類のモノも多い。ギリギリまで状況を見定めて、自身の持つテクニックの中から最適な選択肢をチョイスしている。本能的な部分も含めて得点パターンが固定化されず、常に新鮮な得点が多いことも彼の特徴である。

 J1昇格を争った徳島時代の2011年は、[4-4-2]の左MFを任され、攻撃の中心として彼に課せられた役割は多岐に及んだが、C大阪に復帰した昨季と今季は、もっぱら2トップの一角を担当。求められるのはフィニッシュであり、その局面で、彼の“技”が輝いている。

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