これからのJクラブの経営モデル ~ハイブリッド型スポーツクラブの可能性~

2013年04月14日(Sun)6時38分配信

text by 谷塚哲 photo Kenzaburo Matsuoka
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配当できたJクラブは未だ存在しない

 株式会社がお金を集めやすい一番の理由は利益配当にある。出資した額に応じ、配当が得られるという動機がお金を集めやすくしている。逆を言えば配当が期待できなければいくら株式会社でもお金は集まらないのである。Jクラブにおいて、未だ配当をしたことのあるクラブはないというのが現実だ。

 そもそも配当できるほど利益がない場合が多く、2011年はJ38クラブ中18クラブが赤字である。もし多少の利益が出たとしても、税金を支払って、残りは翌年の強化費や施設整備に充当することがほとんどだろう。配当が期待できなければ株式会社という形態をとっていてもお金が集めやすいとは言えないのである。

 またJリーグでは、Jクラブの株式上場を認めていない。これはもう一つのメリットに関係することだが、上場すれば多数の株式が発行され、売り買いが頻繁になる。これは、株主総会での発言権が増えることにつながるので、時にクラブ側が好まない意見が増えすぎると、クラブ運営に支障をきたす恐れがある。だからこそ発行済株式の過半数以上を親会社もしくは安定株主が保有することで、クラブ運営の意思決定を迅速にし、安定的なものにしたいという考えがある。

営利と非営利の違いは利益の還元の仕方

「営利」=お金を儲ける、「非営利」=ボランティアと考えている人は少なくないだろう。しかし法律上の解釈はまったく異なる。営利か非営利かの違いは、「利益をどのように還元するか?」という点である。

「収入-支出=利益」これは誰でもわかる方程式だが、この利益を一定の人々に還元することを「営利」といい、一方、この利益を一定の人々に還元せず、翌年の事業費に全額繰り入れることを「非営利」という。営利法人の代表が株式会社であり、だから株式会社には株主配当がある。

 非営利法人の代表は財団法人や社団法人、NPO法人などがあり、これらの法人の利益は配当できず、翌年の事業費に全額繰り入れなければならない。この理論をJクラブに当てはめて考えてみると一つの矛盾が生じる。それは「利益を配当しない」「株式上場はできない」にもかかわらず株式会社なのである。これでは株式会社のメリットがまったく意味を成していないことになる。

 唯一、株式の保有により、組織の支配という点では株式会社のメリットを活かせることができる。しかし親会社の支配下にあるクラブを私たちは地域密着のクラブと思えるのだろうか? 最終的には親会社の意向に従うクラブを、自分たちのクラブと言えるのだろうか? 結局、株式会社である以上、私たちのクラブではなく、株主のクラブになってしまうのだ。

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