フットボールチャンネル

これからのJクラブの経営モデル ~ハイブリッド型スポーツクラブの可能性~

text by 谷塚哲 photo by Kenzaburo Matsuoka

ハイブリッド型スポーツクラブとは?

これからのJクラブの経営モデル ~ハイブリッド型スポーツクラブの可能性~
2002年にNPO法人を立ち上げた湘南【写真:松岡健三郎】

 営利を求めるときには株式会社、非営利を実現するときには非営利法人。このように適材適所に法人格を使い分け、効率の良いクラブ運営を実現させるクラブモデルを「ハイブリッド型スポーツクラブ」と呼ぶ。実際にモンテディオ山形のようにクラブ全体が非営利法人でも何ら問題はない。例えばバルセロナは非営利法人であり、むしろこれが理想である。

 ただ株式会社が先行しているJリーグにおいては、このハイブリッド型スポーツクラブの形態の方が適用しやすいのである。ハイブリッド型スポーツクラブは決して新しい取り組みではない。日本では2002年に湘南ベルマーレがNPO法人を立ち上げた。

 また2000年に文部科学省から発表された「スポーツ振興基本計画」には同様のモデルが推奨されている。実はハイブリッド型スポーツクラブの形態は、ドイツのスポーツクラブがモデルであり、ドイツのプロクラブの下には地域スポーツクラブが存在し、地域がプロを支えているという。またスペインではプロクラブの株式会社化の義務を撤廃した。

 そう考えるとハイブリッド型スポーツクラブは、ヨーロッパのスポーツ文化を目指したJリーグ百年構想を実現させるためには欠かせないクラブモデルといっても過言ではないだろう。今までJクラブは私たちの地域にありながら、私たちのものではなかった。それは株式会社という組織形態がそうさせていたのである。

 これは本当の意味での地域密着ではない。地域密着とは、Jクラブと地域が一緒になってクラブを支えていくことである。その仕組みがハイブリッド型スポーツクラブなのである。

【了】

関連リンク

【特別連載第1回】指導者・保護者必見!! 最悪の事態を避けるためのリスクマネジメント
地域スポーツクラブが目指す理想のクラブマネジメント ソシオ制度を学ぶ
地域スポーツクラブのマネジメント

カンゼン 最新刊のご案内

クラブ運営に必要な“法人格”。そのメリットとは?

地域スポーツクラブの“法人格”を取得しよう!―理想のクラブ運営ガイド―
定価1575円

谷塚 哲 著 
A5判・208P/定価1,785円(税込)
4月3日全国書店にて発売!

地域スポーツクラブを運営するうえで、今後不可欠になるのが“法人格”の取得。起業して事業を興すわけでもないのだから法人化なんて必要ないのでは…と思う方も多いでしょう。しかし、今後のより良いクラブ運営を考えるのであれば、法人格を取得することを強くおすすめします。では、なぜ地域スポーツクラブも法人格を取得したほうがいいのか?
本書は、そのメリット・デメリットから、運営にあたっての疑問や悩みまで、スポーツマネジメントの専門家である著者がわかりやすく丁寧に答えたクラブ運営の新しい教科書です。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top