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同じ過ちを繰り返したメッシ。必然だったバイエルン戦での完敗

text by 植田路生 photo by Kazuhito Yamada/Kaz Photography

課題を克服出来なかったメッシ

 ボールポゼッションでは63%と上回ったバルサ。ただこれは、ディフェンスラインでのパス交換が多かったがために数字上、多くなっただけだ。バルサらしい“ティキタカ”はほとんど見られなかった。

 バイエルンは、最終ラインまで追いかけての守備はせず、ボールを受ける側へはきっちりとマークを付けてきた。シャビやブスケッツを厳しくチェックすると共に、DFがパスを出しにくいように、パスコースを塞いでいた。

 シャビはボールをもらうために下がらざるを得なくなり、必然的に中盤は数的不利になってしまった。バイエルンとすれば、後ろで回している間は怖くない。ビルドアップしてきたときに人数をかけてしっかりと奪えばよかったのだ。

 バルサもそれに気がついていたはずだが、中央で孤立したメッシがサイドに逃げてしまっていた。人の少ないサイドであればボールをもらえるが、ここでメッシがボールを持ってもさほど脅威にはならない。

 シュバインシュタイガーが献身的にマークしていたためだが、メッシはベスト16のミラン戦でも同じ過ちを犯している。コンディションの問題もあるだろうが、彼には我慢が必要だった。自分が中央にいればシュバインシュタイガーをはじめ、DFは中央へ集中する。そこで薄くなったサイドを味方が使うことも出来たはずだ。

 この日のアリアンツ・アレーナは芝の状態もよく、水も撒かれていた。バルサにとってはやりやすい環境だったはずのピッチで4-0の敗戦。ただでさえ体の大きなドイツ王者がひときわ大きく見えたのは、バルサの選手が試合から消されてしまったからではないか。

 かつて栄華を誇ったバルセロナ帝国の崩壊は着実に始まっている。それを実感させるのには十分過ぎる完敗だった。

【了】

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