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セリエA 11年前

優勝に王手のユベントス。復活を遂げた要因とCLで勝つための課題に迫る

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

進化に必要なハードワーク以外の要素

優勝に王手のユベントス。復活を遂げた要因とCLで勝つための課題に迫る
アンドレア・ピルロ【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 ユーベの守備は、全員が連動するものだ。2トップが相手のDFラインに勤勉にプレスを掛け、ビルドアップを制限。中盤ではビダルとマルキージオが奔走し、苦し紛れに出されたボールにはバルザーリやキエッリーニが前に飛び出して対処する。

 基本は昨季のチーム、それに新加入のアサモアとポグバがプラスαを加えたが、彼らもハイプレスというチーム戦術を消化したからこそ、溶け込むことが出来た。

 ただしイタリア国内のムードは、さほど今のユーベの強さを賛辞するという雰囲気にもなっていない。CL準々決勝でバイエルンに圧倒された姿を見せつけられたからだ。もともと最近の経験値ではすでに上、抱えるタレントもワールドクラス。

 そして経営力でも差がある。アリアンツ・アレーナは約12億ユーロという営業利益をひねり出し、4000万ユーロをポンと叩いてハビ・マルティネスを買えるまでになった。

 一方でユベントスは昨年の夏、ファン・ペルシーやジョレンテと接触し選手サイドから前向きな応えを貰っていながら、3000万ユーロを超える移籍金を払う事が出来ずに断念。結局バイエルン戦ではノーゴールに終わり、「前線にタレントがいなかったからだ」と地元紙で批判を受けた。

 しかし本当にショッキングだったのは、ハードワークの面でもバイエルンに譲ったことだった。彼らのハイプレスの前に、ピルロやボヌッチのパスは封じられ、ビルドアップが粉砕されてしまった。

 ユベントスは「アグレッシブな試合展開についていくことができ、イタリア勢の中では最もCLに適したチーム」とファンから期待を持って見られていたが、その期待を裏切ってしまった。

 危機感からコンテ監督は「セリエAのクラブは、5年はCLリーグで優勝する事が出来ない」と語っていた。さらに高みを目指すのならば、このままでは駄目だ。

 サンチェスやスアレス、ミラノへの帰還を希望すると噂のイブラヒモビッチまでが補強の第一候補として上がっているが、その通りの補強を計るのか。それとも、大枚を叩かずに強化する道を選ぶのか。 チーム一丸のハードワークの他に、何か他に強みを握らなければ闘っていけない。それだけは真実だろう。

【了】

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