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長友佑都 11年前

混迷のインテルに振り回された長友の一年。完全復帰も手放しで喜べないワケ

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

精彩を欠いた最終節の長友

 そしてその中で、復帰2戦目の長友のプレイにはブランクが響いてか、精彩を欠いていた感は正直否めなかった。

 スターティングポジションは右ウイングバック。だが対面のガブリエウ・シウバには走り負けていた。カバーリングのタイミングは常に一歩遅く、好調時ならスピードと運動量で取り返していたところも振り切られてしまう。

 さらにプレースタイルが全盛期のロナウドに似ていると評判の俊足FWムリエルもサイドに張り出してきたため、対応に苦慮していた。

 攻撃でもリズムにはなかなか乗れなかった。スペースでボールを受けては、周りに渡して自らは中へ入ってリターンを待つという動きがほとんどで、1対1を仕掛けてクロスを挙げるというシーンはほぼ皆無だった。

 もっとも故障以前から、右よりも左の方が攻撃はスムーズ。「多く左でプレイしている分、ユウトは右よりも左の方がいいという判断を我われもしている」とバレージ助監督は語っていた。ウディネーゼ戦では、それに試合勘の欠如も加わっていた印象だった。

 そして後半は、2失点に絡んでしまう。52分、カウンターに出たムリエルを逃してしまい、最終的にはそのムリエルからガブリエウ・シウバにパスが出て、4点目を決められる。63分には自らが前線で奪ったボールからインテル2点目のチャンスに繋がるが、4分後には失点に参与。

 後方に飛び出したボールに詰めるムリエルに対してカバーをしたところ、ハンダノビッチとの受け渡しで意志の疎通があわずボールをロストし、ムリエルが5点目を決めた。ハンダノビッチは長友に対し、随分と長い間ピッチで怒っていた。

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