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Jリーグ 11年前

リーグ戦復調の王者・広島。ACLを“捨てた”森保監督のマネジメントは正しかったのか?(後編)

text by 澤山大輔 photo by Kenzaburo Matsuoka

補強をしていれば、3選手の成長はあり得なかった

 パクのポジションである左サイドハーフには山岸に加え、本来レギュラーである清水がまもなく戦線に復帰する。井波のポジションには爆発的なスピードで攻守に貢献度の高いミキッチに加え、スタミナが売りの石川大徳も控える。

 野津田は高萩という絶対的な存在に加え異能のストライカー・石原、オールマイティな森崎浩とも競らねばならない。つまり3選手とも、現時点でレギュラーを確保するのは難しい。
 
 しかしもしパク、井波、野津田のポジションに補強があれば、彼らの台頭はまずあり得なかっただろう。補強選手はACLだけはなく。1年から複数年にわたってリーグ戦でもプレーする。必然、若手は割を食う。

 ポジションによっては今季のほとんどを練習試合に費やし、試合経験を十分に積めないまま他チームに期限付き移籍した可能性さえある。少なくとも、上記したような活躍はまず望めなかったはずだ。
 
 Jリーグではサテライトリーグが廃止され、ただでさえ若手が継続的にプレーする機会が少ない。そんな中、広島の若手がACLで得た経験には黄金のような価値がある。

 ブニョドコルや北京国安、浦項スティーラーズといった強豪と戦い抜く経験は、ピッチ内のみならず移動、食事、相手サポーターからの罵声といった環境面含めて国内では絶対に得られないもの。控え中心のチームやアマチュアから大量得点する経験より、たった1試合のACLから得られる経験のほうがはるかに多いと断じて良いのではないだろうか。

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