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Jリーグ 11年前

リーグ戦復調の王者・広島。ACLを“捨てた”森保監督のマネジメントは正しかったのか?(後編)

text by 澤山大輔 photo by Kenzaburo Matsuoka

100点はつけられない森保監督のマネジメントだが…

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森保一監督【写真:松岡健三郎】

 結果、ACLでは1勝もできなかった。しかしパク・井波・野津田ら若手選手は出場経験を積んだことで、途中出場ならば十分に試合で使えるレベルに成長した。

 一方、ACLでは3戦以降から森崎和幸を、敗退の決まった5戦以降は佐藤をベンチからも外したこともあり、リーグ戦ではここまで暫定4位と好調をキープしている。ACLでの結果以外、森保監督のチョイスに批判されるべき箇所は存在しないように思う。

 ACL敗退後、森保監督のチームマネジメントについて云々する記事もあった。しかしマネジメントとはいち大会の結果だけにフォーカスすることではなく、チームの予算規模・選手層・フィジカル・メンタル含めたコンディションなど外野から窺い知れない多くの要素を考慮した上で、決断することである。
 
 森保監督は湘南戦後、「経験の少ない選手をチームの戦力にするために、僕ら監督以下チームスタッフが腹をくくって若手選手を育成していかなくてはならない。僕自身に一番勇気が必要なこと。選手以上に勇気を持って、チーム強化に臨んでいきたい」というコメントを残している。
 
 短いコメントの中に、『勇気』という発言が2回出てきた。このとおり、マネジメントとはつまり「勇気を持って決断すること」に要諦がある。ACLの敗退という結果がある以上、ここまでの森保監督のマネジメントを数値で表すなら100点は付けられないだろう。

 しかしながら筆者は、上記したような事情を踏まえれば一定以上の評価が与えられて然るべきだと考える。

【了】

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