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サー・アレックス・ファーガソンの奇妙な冒険〈番外編〉「彼はどこにでもいて、どこにでもいる」第四回

text by 東本貢司 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

「あなたこそわたしの生涯最高のストレンジャー」

「お邪魔をして申し訳ない、ミスター・ファーガソン。勝ちましたよ、オールダムがヴィラを下したんです!」

――こうしてファーガソンは、その後数多のメディアが見出しに、キーフレーズに用いたように、「ゴルフコースで優勝した史上初の監督」になった。

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【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 一方、その“映画のワンシーン”で重要な役回りを演じた男は、飛び上がって喜ぶファーガソンを後に、名乗りもせずに姿を消した。曰く「フットボール史上最も有名なストレンジャー」。

「ストレンジャー」がファーガソン宛に手紙を書いて自らの身元を明らかにしたのは、実に2007年になってからである。マイクル・ラヴェンダー、“当時”46歳。ファーガソンは早速、丁重な感謝の返事の手紙を書き送った。

 その手紙は現在、生まれついてのユナイテッドファン、ラヴェンダー氏が、フランス中西部、ビスケー湾を望むポアトゥー=シャラントにて経営するホテル内のビストロの壁に、質素な額付で飾られている。

「お手紙ありがとう。あれ以来お会いすることもありませんでしたね。まさにあなたこそわたしの生涯最高のストレンジャー、あの記念すべき一日を象徴する伝説そのものです」

 感極まったラヴェンダー氏は語る。「まさか(あのことを)覚えてくれていたとはね!」

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