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西野朗がブラジル戦を徹底分析「選手、戦術、采配、すべてが消極的だった」

0-3と完敗したブラジル戦。エキスパートはどう見たのか? アトランタ五輪では“マイアミの奇跡”を起こしブラジルを撃破した西野朗氏に聞いた。

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka

感覚を掴む前にやられた日本

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西野朗氏【写真:松岡健三郎】

――0-3と完敗してしまいました。

「フランスに勝利していたとはいえ、ブラジルは周囲のプレッシャーも厳しく、負けられない宿命を背負っています。そんな中で、慎重にくるのか、あるいは準決勝を見据えた戦いをしてきてある程度隙はあるのか、日本が感覚を掴む前にやられてしまいました。

 (ネイマールの先制点は)眠りから覚ませてはいけない選手を起こしてしまった。崩された形での序盤での失点。これで当初の予定が狂ってしまったと思います。

 ピッチコンディションが悪かったこともあり、ブラジルは武器であるスピーディな攻撃はそこまで仕掛けてきませんでした。追加点を積極的にとりにくる感じでもなかった。ですから、前半はもっとアグレッシブに行ってよかったのですが、反発力はなかったですね。

 前半は0-0、最悪でも0-1でもOKという感じに見えましたが、あまりにも様子を見過ぎました。イラク戦があり、日程が厳しくコンディションが整わなかったため、後半はフィジカルの部分でもダウンしていました。トータルで考えてブラジルの試合です」

――先制点を防ぐ術はあったのでしょうか?

「チェックに行っていなかったわけではありません。ただ、様子見だったのかコンパクトさが足りず、そこで完璧な形で崩されてしまった。今野、吉田の寄せも甘いと言えば甘い。ただ、個のクオリティの高さは明らかで、アジアで通用していた寄せではまったく歯が立たない。

 こういった大会の初戦は大体前半15分くらいまでリズムを掴むことを重視するため、そうそう前から仕掛けることはないんですよ。それがやられてしまった。動揺しているようには見えませんでしたが、リズムはおかしくなりました」

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