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イタリアを下し1位通過を決めたブラジル。盤石に見える王国に隙はあるか?

text by 下薗昌記 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

空気を変えたネイマール

 ただ、不穏な空気を王国の背番号10が一変させる。「この背番号が持つ責任の重さは分かっているよ」(ネイマール)。3戦連発となる絶妙なFKで再びイタリアを突き放した天才に指揮官も「ネイマールはブラジル人とサッカーが持つ天才性を愛する人全てにとってのアイドルだ」と賛辞を贈ったのも納得のパフォーマンスを披露した。

 この日の4得点いずれもが中盤からのパスワークによるものではなかったが、スコラーリ監督が志向するのも基本的には2010年の南アフリカ大会で当時のドゥンガ監督が志向したカウンター。ただ、ネイマールやオスカールら局面で輝きを見せるタレントたちが、随所で王国の薫りを醸し出すのが現在のセレソンだ。

 一方で、やや消化不良が続いていた昨年のブラジル全国選手権トリプルクラウンのフレッジは2試合を終えて未だ無得点。ラッキーボーイ的に2点を決めているジョーを求めるコールが起きだした直後の66分にマルセロのパスを勝負強く叩き込み、イタリアの背番号9に負けじと存在感を見せつける。

 既に警告を一枚受けていたこともありネイマールが交代した直後は、イタリアの猛反撃を受けたブラジルではあるが、1位通過という理想的な結果とともに3連勝を勝ち取った。

「試合をするごとに仲間の特長や監督の考え方がチームに根付いてきた」とルイス・グスターヴォが振り返るように、攻撃面での連動性が出始めた反面、守備の課題も改めて露呈した。マルセロの背後のケアはもちろんだが、不安定なプレーが目立ったダンテではダヴィジ・ルイスのバックアッパーとして心もとない。

 南米の巨人対決となる準決勝のウルグアイ戦にはパウリーニョとダヴィジ・ルイスも間に合う予定だという。「今まで以上にマークも厳しくなる」と背番号10が見据えるように、攻守において現状の完成度が見える一戦となる。

【了】

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