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スペインをも封じたブラジルの高い守備力はなぜ実現したのか? スコラーリ監督のマネージメント力に迫る

コンフェデはブラジルの優勝で幕を閉じた。決勝でスペインを3-0と圧倒し、チームとしての質の高さをまざまざと見せつけたセレソン。スコラーリ監督はタレント集団をどうまとめ、チームとしての完成度を高めたのか?

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

適材適所に効果的に選手を配置したフェリポン

 “聖地”マラカナンで行われたコンフェデ決勝は、開催国のブラジルが前回W杯王者のスペインを3-0で撃破。6度目の優勝を目指す本大会に向けて大きく前進した。

「チャンピオンが帰ってきた」と豪語したのは優勝監督の“フェリポン”ことスコラーリ監督。歴史的なコメディアンのチャップリンを連想させる風貌は記者の質問に対し、時に笑顔で、時に険しく変化していく。この指揮官が見せる人間味は周囲を虜にしてしまうのだ。

 02年の日韓W杯でブラジルを優勝に導いた名将は選手のマネージメントとモチベーティングのプロフェッショナルとして高い評価を得てきた一方で、戦術家としての手腕はそれほど語られない。ブラジル代表のスタイルもさして目新しいものは無く、個人が適材適所でしっかり能力を発揮することで成り立っていることは確かだ。

 しかし、その適材適所に選手を配置し、しっかりと責任を果たさせるためには、選手の特徴に関する高い分析力と、各エリアのユニットを結び付けるオーガナイズ力が求められる。

 スコラーリ監督はこの点で非常に優れた指揮官であり、国内外にタレントが存在するブラジル代表を率いるのは理想的な監督であることを、今回のコンフェデで改めて実感させられた。

「23人がそれぞれ特徴を持ち、役割を担っている。それを把握するためにも分析は不可欠なのだ」と語るスコラーリ監督はコンフェデに臨むにあたり、カカ、ロナウジーニョといった実績の豊富なビッグタレントの招集を見送った。

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