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フェライニと香川が化学反応を起こす可能性も。マンU新監督モイーズが攻撃的スタイルで戦うべき理由

text by 山中忍 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ユナイテッドの守備を改善させる可能性も

 モイーズを「守備的」の一言で片付けるつもりはない。エバートンのサッカーは、深く引いて大きく蹴り出すような単調なものではなかった。昨季にしても、ボールを持てば、ケビン・ミララスとスティーブン・ピーナールの両翼を生かし、ピッチの幅を使った攻撃を試みた。

 3月のマンチェスター・シティ戦(2-0)のように、勝つべくして勝った試合もある。カウンターが多かったことは事実だが、速攻カウンターは、長らくユナイテッドのレパートリーの1つでもある。

 また、元DFの新監督による「堅守色」注入も悪くはない。ユナイテッドの43失点は、昨季トップ4では最多。6位エバートンよりも3点多い。元FWの前監督でさえ、守備の意識不足を嘆く試合はあった。

 昨年、シティに逆転優勝を許したきっかけは、大詰めの4月に、最後の8分間で2点差を追いつかれたホームゲーム。対戦相手は、他ならぬモイーズのエバートンだった。

 問題は、ユナイテッドの監督として、勝負を決める意識を持てるかどうかだ。前任地では、時として慎重すぎた。例えば、2月のノリッジ戦(1-2)。アウェイとはいえ、格下を相手に前半に先制したエバートンは、追加点を奪って勝敗の行方を決めるべきだと思われた。

 だが、ラインを下げて逃げ切りを意識して逆転を許した。昨季トップ6最多の15引分けは、決定力と同時に積極性の不足も示唆している。

 その点、ユナイテッドでは積極姿勢が基本だ。ホームでは、対戦相手の格を問わず、主導権を握って勝つ意識が大前提。守備固めは、先制点ではなく駄目押し点を奪ってからの策だ。当のモイーズは、「攻めのサッカーはセルティック時代に体得している」と、現役キャリアの出発地点となった、スコットランドの強豪での経験を強調している。

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