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監督退任続いてエバートンを襲った大激震。クラブのブランド価値を維持することの難しさ

text by 永田到

なぜデザインを刷新したのか?

 今季のエバートンの戦績はプレミアリーグ第6位。一時はヨーロッパリーグ出場枠も射程圏内に入っていた。CEOのロバート・エルストン氏は、今後のクラブの方針について「欧州における認知度を着実に高めていく」と力強く述べている。

 英ブランドファイナンス社の研究報告書によると、エバートンのブランド価値評価はプレミアリーグ第10位、欧州全体では32位だ。認知度の向上ブランド価値を再構築していくという点において、エンブレム刷新に向けた取り組みそのものは評価されるべきだろう。

 2000年から13年に渡って使用されてきたエンブレムには、レイアウト上の課題があった。それは、クラブの名称そのものと、歴史の長さを示す結成年が、エンブレム枠外に配置されていたことだ。

 その結果、クラブのアイデンティティーに関わるこの二大要素が、グッズデザインやパブリシティーにおいて省略されがちになっていたという。エバートンはこれを改善すべき点と判断し、新しいエンブレムの作成にとりかかった。

 新エンブレム枠内にクラブの名称と結成年を取り込んだ結果、エンブレムから省かれた要素があった。クラブのモットーとなっている「Nil Satis Nisi Optimum(最善を尽くせば道は開ける、の意)」というフレーズだ。

 サポーターによる猛反発の焦点は、クラブのイメージと一体化しているこのモットーを、エンブレムから排除したことにある。ラテン語表記によってそのイメージを格式高いものにしているエバートンのモットー。オフィシャルグッズストアやスタジアム、公式サイト等、クラブの顔と言える様々な場で、必ずと言っていいほど掲げられてきた。

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