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Jリーグ 11年前

【J3構想の実態を探る】Jリーグ理事 大河正明氏に聞く、『J3』のアウトライン(前編)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

なぜこれほど『J3』の創設を急いでいるのか?

――去年の9月、Jリーグ準加盟の規定が緩和されました。J3構想の一環だと思いますが、緩和した理由は?

 我々は社団法人ですから、将来的にJリーグを目指すことを表明してくれて、最低限の設備が確保されているのであれば、Jの仲間に入れていいんではないかと。で、準加盟に入るための最大のネックになっていたのがスタジアムだったんですね。最低1万人以上収容の、ある程度の設備が整ったスタジアムを作る意向があるのか、ということを自治体に聞いていたのですが、「Jに入ったら考えたいが、それがJに入るための要件だとなると難しい」という意見が多かったんです。

 そこで、今までは(Jに)入ってからアカデミーを作ればよかったんですけど、今後はJの準加盟に入る以上、少なくともスクールか、U-12や15、18からひとつくらいは持ってほしい。つまりアカデミーをミッションとする代わりに、スタジアムは後でもいいですよ、と昨年の9月1日付で規定を変えました。それにより、まず長野が手を挙げて、さらに金沢と秋田もこれに続いた。この2クラブについては、2月26日のJリーグ理事会で、準加盟が承認されるかどうかが決まります。(注:その後、両クラブの準加盟が正式に承認された。)

――町田、讃岐、相模原、長野、金沢、秋田の6クラブが「当確」との報道があります。実際には何クラブがJ3参入に手を挙げると見ていますか?

 我々は、毎月行われるJFLの実行委員会を機会ととらえて、Jを目指すクラブに対して、いろいろな投げかけをしてきました。たとえばJに上がったときの広報活動ではこういうことが重要だよとか、運営はこういうことがあるよとか、事業はこういうルールでやっているとか。

 また、地域リーグの中でJリーグを目指しているクラブに対する説明会も年に1回やっていますし、当時地域リーグだった福島(ユナイテッドFC)、あるいは奈良クラブやレノファ山口(FC)とか、こちらからスタッフを現地に派遣してJリーグの実態についてお話したり、意見交換させていただいたりする中で、JFLに関しては18クラブ中、半数以上がJを志向しているという手ごたえを感じました。

――とりあえずは最低ラインの10クラブは集められそう、ということですね。それにしても2014年、つまり来年からJ3をスタートさせようということですが、なぜこれほど急いでいるのでしょうか?

 良いことは早くやったほうがいいという単純な理由もあります(笑)。それと、今までJ2に上がったクラブって、JFLにいることが苦痛だったんですよね。それはサッカーの競技面ではなくて、特に財政面であったり、地域の理解が得られにくい部分であったり。

――つまり、いくら準加盟であっても「でもJじゃないんでしょ? ウチはJに上がったらお金を出しますよ」という話ですよね?

 わかりやすく言えば、そうですね。加えてJ2が定員の22クラブになったことで、JFLで優勝するか、2位で入れ替え戦に勝たなければ、昇格できなくなってしまった。このように昇格のハードルが高くなる中、3番目のリーグでもある程度、経済的にも辛抱できる仕組み、それから地域にもある程度アピールできるような仕組みというものを、できるだけ早く作ってあげたほうがいい、ということですね。

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