フットボールチャンネル

Jリーグ 11年前

【J3構想の実態を探る】Jリーグ理事 大河正明氏に聞く、『J3』のアウトライン(後編)

text by 宇都宮徹壱

J3はプロとアマが両方いるリーグになる

――ちょっと話題を変えます。個人的には、J3とシーズン移行の議論とがセットに進んでいるように感じられて仕方がありません。つまりプロをアマチュアから切り離せば、シーズン移行はしやすくなると。いかがでしょうか?

 それはたまたま時期が重なっただけで、まったく関係ないです(笑)。確かにFIFAのカレンダーに合わせたほうが、代表強化の面でメリットは大きいでしょうけれど、(Jリーグとしては)寒冷地の対策とか、移行期の1・5シーズンをどう乗り切るかとか、いろいろな問題があります。これは多数決で決める話ではなく、みんなが腹をくくって「こっちのほうがいいね」という環境整備ができるかどうかですね。

――私自身は、シーズン移行には反対の立場です。ただし、国際競争力を高めようという考え方そのものについては、否定するつもりはありません。今回のJ3構想というのは、Jの落ちこぼれを出さない、護送船団的な部分は否めないように感じます。これって、リーグが本来持つべき競争原理に反しているようにも思えるのですが。

 J1、J2、J3と見たときに、(Jリーグの戦略として)すそ野を広げて仲間を増やすことと、アジア戦略とか放映権料を増やすことで収入のパイを増やすこと、その両方があると思います。もちろん、アジア戦略で恩恵を受けるのは、たぶん浦和のようなJ1のビッグクラブです。ただ、そうしたクラブが選手の年俸を引き上げていかないと、J2やJ3の選手の年俸も上がっていかないと思いますよ。

 どんどん収入が増えて大きくなるクラブがある一方で、所属選手の半分以上がアマチュア登録というJ3のクラブがあってもいい。プロとアマの垣根が今はJFLですが、それはクラブ経営の垣根であって、プロとアマの選手が両方いるというリーグとなると、たぶんJ3になるんでしょうね。

 先ほど「護送船団」とおっしゃいましたが、確かに町田には「理念推進費」という名目で5000万円を融資しました。けれどもJ3を作ることで、今後はこの5000万円は止めようと思っています。

 その理由は3つ。

 まず、Jリーグからの分配金を1000万でも2000万でも出せるように営業努力をしましょうということ。それと、J3同士の対戦となるので、スタジアム観戦者も含めて(収入が)増えるんじゃないかという期待。さらには「JFLではなく、J3なんだ」ということでの広告収入も伸びるのではないかと。以上を勘案して、5000万くらいは増やせるんではないかと踏んでいます。

【了】

関連リンク

サッカー批評 ISSUE61
松本山雅劇場 松田直樹がいたシーズン

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top