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【松田浩の超分析】日本代表の守備はなぜ崩壊したのか? 希薄だった守り切る意識

text by 鈴木康浩 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

オフサイドがとれていれば…

――ペナのラインが目安というのは、ボールホルダーがもう少し浅い位置でも言えることですか?

「どんなときでもペナのラインまでは上げられると思います。そういう考え方で守っていれば、この場面は結果的にオフサイドになる」

 再度映像を巻き戻す。クリアが中途半端になった今野がそのまま足を止めずにペナルティエリアのラインまで上がっていれば――たしかに、スルーパスを受けたマルキージオも、逆サイドのジョビンコもオフサイドだ。

「このスルーパスが出たときに長友(5)はオフサイドをとりにいっている。スルーパスが出た時点でマークを放してしまっているんですよ。おそらくマークにつこうとすればつけるんだけど」

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負けてはならない試合を落とした日本代表【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

――長友にもオフサイドだという頭があった。

「そう。だからラインが上がって揃っていればイタリアの2人はオフサイド。今野は、この選手(ジョビンコ)に影響を受けたのかなあ。それかスルーパスを受けたこの選手(マルキージオ)が見えていた。

 もしそうだったら、もう少しボールサイドに寄せていてもいい。まあ、なんとも言えないですね。とにかくこの場面の今野の位置はまったく足を止めるところじゃないですよ。ラインを上げていれば結果的にオフサイドがとれていた」

――修正すべきは、ペナのラインまで上げること。あとはクリアをしっかり飛ばす。

「そうです。そこは絶対。終了間際の危険な時間帯なんですから大きく切ってしまう」

――イタリアは瀕死の状態からこのゴールで勝ち越すわけですけど、やはり経験だと感じますか。

「そうですねえ。それもあるけど、こっちが与えた隙もありますからね。日本には絶対にゴールを与えないような意志、もう引き分けでもいい、という考え方があってもよかった。ベンチの指示があるからわからないけれど、個人個人で状況はわかっているわけだから。引き分けならば次の試合が消化試合にならなかったんですからね」

【了】

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サッカー批評 ISSUE59

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