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アジア 11年前

中国サッカーに未来はあるか?(その2)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

変わりつつある中国サッカー。その背景には…

 もちろん、人口比率では10分の1以下の日本が、2種と3種を合わせて41万2899人(10年)いることを考えると、中国の若年層の数は驚くほど少ない。それでも、これまで疎かにしていたグラスルーツの分野に、ようやく協会が本腰を入れるようになったのは特筆すべきことであろう。

中国サッカーに未来はあるか?
杭州緑城球団副GMを務める鮑仲良氏【写真:宇都宮徹壱】

 その背景にあるのが、「中国サッカーは日本に学ぶべし」という潮流。日本を抜いて世界第2位の経済大国となった中国だが、ことサッカーに関しては謙虚に日本から学ぼうとする姿勢を隠さない。その具体的なアプローチが、底辺の拡大と育成の充実。こうした傾向は、クラブレベルでも見られる。

 岡田武史を指揮官に迎えた杭州緑城は、中国スーパーリーグでも数少ない「育成型のクラブ」としてつとに有名だ。36歳(2012年4月時点)の副GMである鮑仲良(ばうちゅうりょう)は、三顧の礼で岡田を迎え入れた理由について、このように語っている。

「岡田さんには、目先の勝利よりも、もっと長い目でチームを良い方向に導いてくれることを、クラブとしては望んでいる。わが国の国内リーグは20年近い歴史があるが、クラブの作り方、トレーニングの仕方、育成、いずれも世界に後れをとっている。外国人のコーチを呼ぶという発想は以前からあったが、誰もがこのクラブを成長させてくれるわけではない。いろいろと検討した結果、やはり岡田さんが最もこのクラブに良いものをもたらすと判断した」

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