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アジア 11年前

中国サッカーに未来はあるか?(その2)

近年、アネルカ(上海申花)や岡田武史監督(杭州緑城)が参戦するなど、世界中から選手・監督を集める中国スーパーリーグ(超級)。過去には八百長問題なども取りざたされたが、果たして中国サッカーの未来は明るいのか。いま何が起きようとしているのか。

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

【その1はこちらから】【その3はこちらから】【その4はこちらから】 | 【サッカー批評issue56】掲載

「中国サッカーは日本に学ぶべし」

 国内リーグが、空前の活況を呈しているのに対して、気になるのがナショナルチームの低迷である。

 2014年ワールドカップ予選は、イラクとヨルダンの後塵を拝して3次予選で敗退。かつてはアジア最強を誇った女子も、ロンドン五輪出場の道を絶たれた。最近の低迷の原因について林副会長に問うてみると、いささか意外な答えが返って来た。

「このところの中国代表が、下り坂であることは認めるしかない。その理由は、社会的な要因もあると思う。この10年間、サッカーをする子供は減る一方だ。ご存じのとおり、わが国は一人っ子政策であり、親は子供に高学歴を求めている。入試のプレッシャーが大きすぎるため、とてもサッカーを楽しめるような環境にない、ということだ」

 実のところ中国は、これまでグラスルーツと育成に関しては、ほとんど手つかずと言ってよい状況が続いていた。しかしここにきて、状況は変わりつつある。中国協会は、2年前から全国の小学校の体育にサッカーを取り入れてもらえるように働きかける「ナショナル・フットボール・スクール・プログラム」を実施。林副会長によれば、ジュニアユースとユースの登録者数は7万5870人にまで伸びたという。

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