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注目度の高まる『イングランド・スーパーリーグ』 チェルシーに加入した大儀見優希の新たなチャレンジ

text by 山中忍 photo by junior soccer editorial staff

注目度の高まっているスーパーリーグ

 チーム全体としては、不安定さの解消という課題を抱えている。チェルシーは、今季第3節でリバプールを下した(2-1)。相手は積極補強が奏功し、前チェルシー監督の下で、昨季までの2年連続最下位とは別人と化したチーム。ところが、そのリバプール戦で首位に浮上したかと思いきや、続くリーグ戦で4連敗という具合だ。

 成績如何では、クラブの「野心」が萎えかねないという一抹の不安もある。チェルシーFCの一部とはいえ、レディースはセミプロ。ホームゲームも、スタンフォード・ブリッジではなく、ステインズ(6部)のホームで行われる。入場料5ポンド(約800円)で観戦に訪れるファンの数は500人前後。プロ組織の男子とは違い、資金注入の継続が保証されているわけではない。

 事実、「女子にもその気」を窺わせた翌年の09年、クラブはレディース予算を大幅に削減した。当時の女子キャプテンと共通の友人を持つジョン・テリーが、自身のチームメイトを誘って資金援助を行っていなければ、その2年後にスーパーリーグ創設メンバーとなることは難しかったかもしれない。

 チェルシー・レディースは、クラブ内での存在感と重要性を高めるためにも、スーパーリーグの強豪へとステップアップを遂げて、国内の女子サッカー界に生まれた上昇気流に乗らなければならない。女子のリーグ戦もテレビ中継されるようになり、来季からは、リーグ自体が、昇降格のある2部構成となって面白さを増す。

 マンチェスター・シティが、女子の世界でも「成り上り」を狙って参戦することも決まっており、注目度は高まる一方だ。クラブにすれば、戦力のみならず、ステータスの向上をも狙っての日本代表FW獲得に違いない。「W杯王者」を獲得したチェルシーと、大儀見の新たなチャレンジは、スーパーリーグが再開する8月4日に始まる。

【了】

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