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中国サッカーに未来はあるか?(その4)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

日式足球に否を突きつけた広州恒大

 中国のスポーツ紙では、通常のリーグ順位表の隣に、別のランキングが掲載されている。同行した応記者に尋ねると、何と「勝利給ランキング」なのだそうだ。

 第6節終了時の順位は、1位広州富力、2位広州恒大、3位北京国安。一方、勝利給ランキングは、1位広州恒大、2位広州富力、3位北京国安。ちなみに、この時点で13位の上海申花と14位の杭州緑城は、それぞれ勝利給ランキングでは7位と15位となっている。多少の例外はあるものの、順位表と勝利給ランキングは、それなりにリンクしていると言えよう。

 この時点で勝利給トップの恒大は、2300万元(約3億2000万円)を気前よく振る舞っている。これがACLとなると、さらに羽振りが良い。初戦で全北現代(韓国)に5-1で勝利した際には、基本勝利給600万元プラス、得失点差1点につき200万元、合計1400万元(約2億円)をチームにプレゼントしたという。

 オーナーの許家印は、大手デベロッパー企業、恒大房産の会長で、「中国のアブラモビッチ」と命名したくなるような金満家のサッカー好きとしてつとに有名である。

 先の八百長事件に巻き込まれ、2部への降格処分となった広州足球倶楽部を買い取ると、その潤沢な資金を背景に国内外のタレントを一気にかき集めた。ブラジル生まれでセルビア国籍を持つクレオ、アルゼンチン人のコンカ、そして中国代表のがお林や鄭智(ていち)らは「広州恒大」と名を改めてから補強した選手たちである。

 中国取材最終日となる4月17日、天河体育中心体育場で行われたACL、恒大対柏レイソルを取材する。日中チャンピオン同士の対決は、終わってみれば3-1で恒大の完勝に終わった。

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