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5発大勝でモイズ体制初勝利をあげたマンU。順調な仕上がりを見せ万全の状態で日本へ

text by 植松久隆 photo by Richard Luan

「オールスターズではなくフュースターズ」

マンチェスターユナイテッド
この日の攻撃を率先して引っ張ったギグス【写真:Richard Luan】

 試合前日、現地有力紙シドニー・モーニング・ヘラルドは、観戦歴40年という筋金入りのサポーターが誇らしげに胸を張る写真を掲載。その男性は、クラブのツアーに並行する今回の旅行に妻と二人で15,000ドル(日本円で約140万円)を費やしたとのことだが、彼のような本国からの熱心なサポーターを含む2万人超の人々が、世界中からオーストラリア各地から国境、州境をまたいでシドニーに集結。

 そんな彼らの熱狂が、すべて試合当日に集約される形で、83,127人という超満員の観衆で会場のANZスタジアムは膨れ上がった。

 この対戦に臨んだユナイテッドは、オーストラリアから合流のロビン・ファンペルシをベンチに留め、ライアン・ギグス、マイケル・キャリック、リオ・ファーディナンドといったベテランを要所に配しつつ若手を多く起用する実験的な布陣。

 かたや、東アジア杯に国内組代表クラスの選手を抜かれ、小野伸二やデルピエロといったスター選手をも欠き、一部では「オールスターズではなくフュースターズ」だと揶揄されたオールスターは、ブレット・エマートンなど元オーストラリア代表4人を含む5バック気味の布陣で臨んだ。

 前半11分、お互いの様子見の展開を打ち破ったのは、ユナイテッド期待の若手MFジェシー・リンガード。ゴール前でダニー・ウェルベックが出したパスに鋭く反応、ボールをゴール右に流し込み先制。

 さらに、34分にはリンガード、ギグスと細かく繋いだボールをウェルベックが冷静に蹴り込み、2-0と突き放す。前半をそのまま折り返した試合だが、ユナイテッドの素晴らしい2ゴールはあったものの、総じて淡々とした流れで進行、会場全体にも緩い雰囲気が漂っていた。

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