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日本代表 11年前

北朝鮮と引き分けたなでしこ。無失点を実現させた高い“修正力”に迫る

text by 馬見新拓郎 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

岩清水の計り知れない貢献度

 ハーフタイムで問題点を修正し、試合の流れを意図的に変えることができたことは高く評価できるが、後半のカウンターに対するリスク管理が完璧に近かったことも、特筆すべき点だ。

岩清水梓
岩清水梓【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 なでしこジャパンが得点を奪おうと前がかりになると、北朝鮮の大きなクリアボールがそのままカウンターにつながり、その一発で失点してしまう、というケースは、過去の北朝鮮との対戦で、なでしこが何度も繰り返してきたミスだった。

「近くの選手で、マーク(の受け渡し)をどうするか、助け合いながら守ることができた」と、右SBでの経験が浅い山崎が言えば、「特に後半はカウンターに備えてGKとも連係してしっかり守れた」と、熊谷も後半の隙を与えない守りには胸を張った。

 岩清水の度重なるインターセプトが、無失点試合に大きく貢献したことも記しておきたい。主に前線の二人だけで攻撃を仕掛けてくる北朝鮮のリズムが一向に変わらないことも功を奏したのだが、ターゲットを絞り、北朝鮮のトップの選手にボールが入る直前に岩清水が足を出し、ピンチを未然に防いだシーンが、特に後半は何度も見られた。

 円熟味を増した予測で次々にボールをカットする岩清水のプレーは爽快で、この試合のMVPに匹敵するものだった。

 試合を終えてミックスゾーンにやってきたDFラインの4人(宇津木、熊谷、岩清水、山崎)は、一定の満足感を示していた。それはアジアの雄・北朝鮮の攻撃をうまく回避し、ゴールを守ることができたことに対する、個々の率直な思いだった。

 後半は攻め立ててのスコアレスドローは、多くの場合でネガティブな印象が残るものだ。しかし、「今日のDF陣には非常に高い集中力があって、特に後半はピンチを作らなかった。今日のようにしっかり最後まで走り切ることは、我々の原点」と、佐々木監督が最大限の評価を与えたように、守備陣の成長を再確認する上では、決して悲観的な一戦ではなかった。

【了】

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