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日本代表 11年前

東アジア杯で優勝を懸けた日韓戦。勝利するために求められるザックの采配力

text by 北健一郎 photo by Asuka Kudo

ブロックを作るのは得策ではない

 ザックジャパンのサッカーは高い位置からプレスをかけて、最終ラインを高く保っていくというもの。体力的にフレッシュな状態にある前半は前線から最終ラインまでがコンパクトなので適度な距離感でプレスをかけられる。

しかし、運動量が低下してプレスにバラツキが出始める後半になると、ボールに寄せられず、それに伴って最終ラインも下がってしまう。

 前線と最終ラインの距離が空いた「間延び」した状態では中盤にスペースが空くので、高い位置までボールを運ばれやすい。特に最終ラインとボランチの間、バイタルエリアで前を向いてボールをもたれる回数が増えると失点のリスクは一気に上がる。

 ザッケローニ監督は中国戦では青山敏弘→高橋秀人を65分、オーストラリア戦では扇原貴宏→山口蛍を62分とボランチを交代の1番手としてスイッチしている。監督はオーストラリア戦の交代について「疲れた選手から先に交代させた」と語っているが、守備の選手を投入することで「受け」に回ってしまったのは確か。

 韓国戦でも過去2試合のように日本がリードする展開となれば、後方から長いボールを放り込んでくることは考えられる。そのとき、前線の選手の足が止まっていれば好きにボールを蹴らせてしまうことになり、自陣ゴール前での勝負に持ち込まれてしまう。

 日本のセンターバックが一対一の守備力に課題を抱えていることを踏まえれば、引いてブロックを作るのが得策とは言えない。

 オーストラリア戦で90分を通じて献身的にディフェンスをした豊田陽平や、チェイシングのスピードに優れる斎藤学といったオーストラリア戦の出場メンバーを早い時間で送り出して、ロングボールの出どころにフタをすることを優先してもいいだろう。

 東アジアカップで試されるのは選手だけではない。指揮官であるザッケローニ監督にも勝ち切るための采配力が求められる。

【了】

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