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日本代表 11年前

西野朗が東アジア杯を総括「優勝は高く評価出来る。意義ある大会だったが、現段階で『当確』はいない」

text by 編集部 photo by Kenzaburo Matsuoka ,Kazhito Yamada / Kaz Photography

齋藤・大迫ではなく山田・豊田を投入した意味

西野朗氏
西野朗氏【写真:松岡健三郎】

――守備陣は1失点はしましたが、辛抱強く守っていた印象です。

「そこまで執拗にフォアチェックはしていなかったね。これは本来のザッケローニ監督のスタイルではないんだけど、リトリートした中で適切な距離感を保って、時に自陣にブロックを作っていた。

 実は韓国は信頼出来るストライカーがいないから、そこまで怖がる必要はなかったんだよね。ただ、森重と栗原は空中戦でほとんど競り勝っていたし、厳しさを持っていた。ボールを奪う位置が低くて、どうしても韓国のチャンスは増えたんだけど、いい距離感と連動性のある守備で跳ね返すことが出来た。

 7:3くらいでリアクションサッカーだったけども、柿谷という“持っている男”が抜け目なく狙っていたし、それをチーム全体で共有出来ていた。共通意識、だね。サッカーの怖さを日本が韓国に教えた感じかな」

――選手交代はもっと早く動いても良かったのかな、と思いました。豊田の投入もロスタイム近くでしたし…。

「選手交代はもちろん『勝ちに行く』『決着を付ける』という意味があったんだけど、韓国戦に限ってはそれだけじゃない。齋藤や大迫ではなく、山田と豊田という選択肢からそれは分かる。攻撃と守備、半々の目的での彼らの投入だよね。

 二人とも得点への意識だけじゃなくて、チェイシングが良かったよね。そういうハードワークの部分を期待していたはず。点をとる必要があれば、齋藤のような特徴のある選手を使っただろうから。

 ザッケローニ監督は大会全体を通しての勝負へのこだわりがあったと思うよ。だって、1-1で終わっても日本の優勝だったんでしょ? 中国と全部並ぶけど何か決まりがあったんでしょ?」

――そうです。イエローカードの枚数で優位だったようです。

「そこまでいくんだ、実は現地の記者や関係者でも分かっている人が少なくて…(笑)。まぁ、そこも計算した上で勝負に徹していたと思うよ。それが実ったし、やっぱり大会を勝ち切ったことは大きな意義があるよね」

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