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日本代表 11年前

ザックジャパンの停滞を生んだ、過剰な本田礼賛

text by 竹田聡一郎 photo by Asuka Kudo / Football Channel

コンフェデで露呈した「齟齬」

本田圭佑
本田圭佑【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 まあ、前述したような僕の私見というかボヤキはどうでもいいとして、本田が日本代表でも突出して能力があるのは理解している。チームメイト、香川真司にしても長友佑都にしても「圭祐がいるのといないのでは違う」と証言している。本田不在のゲームは勝てないし、苦しい。代表に必要なタレントなんだろう。それも認識しているつもりだ。

 ただ、識者やマスコミやファンがこぞって「本田がいるとタメができる」と叫ぶのがどうにも納得いかない。また、本田はたびたび「個」を口にしている。欧州主要リーグで戦い、コンフェデでも痛感したそのキーワードはまだまだニッポンには不足している要素だそうだ。

 日本代表はオシム、岡田時代を通じて組織で戦うサッカーをしてきたのではなかったか。全員で走りグループで囲む。ラインはコンパクトに球離れは早く、チームとしてポゼッションしながら仕掛けてゆく。「個」がないからこそ、それを何年もかけて成熟させたのではなかったか。

 香川や清武弘嗣や乾貴士をはじめ、狭いエリアでもボールを失わずに抜け出すことのできる選手を集めたのではなかったか。スペインサッカー連盟とパートナーシップ協定を結んだのは流動的なポジションチェンジとパス交換で時間を作って攻めてゆくあのサッカーに近いものを目指した結果ではなかったか。決して本田ひとりでタメを生むサッカーではなかったはずだ。

 その齟齬がコンフェデ杯で見事に露呈してしまった。アジア以外が相手になると守って守ってカウンター。時間を稼ぐのは本田任せで、もちろんブラジルやイタリア相手には十分な時間は作れない。これでは南アのときと同じだ。

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