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日本代表 11年前

期待の“東アジア組”森重・青山・山口の長所から読む。W杯までに日本代表が成長すべき要素

text by 河治良幸 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography Asuka Kudo / Football Channel

機動力と守備能力を示した山口

3.山口螢

山口螢
山口は運動量が豊富な上に無駄が少ない【写真:工藤明日香(フットボールチャンネル)】

 東アジアカップで3試合全てに起用され、持ち前の機動力と守備能力を示した山口は現時点で主力メンバーの中に入っても、十分に機能できるはず。その理由は状況判断の的確さとプレーの柔軟性だ。

 高い位置の連動したプレスから、果敢にボール奪取を狙うのが本来の守備スタイルで、タイミングの良い飛び出しと正確なミドルシュートもその流れで出てくるものだ。しかし、韓国戦の様に押し込まれれば、危険なエリアを封じることに意識を切り替え、相手にとってのチャンスの起点を潰すことができる。

 運動量が豊富な上に無駄が少なく、多くの局面で数的優位を生みながら、個の対応が求められる場面でも強さを発揮できる。遠藤と長谷部のコンビは安定しているが、中盤のフィルターとしては世界と戦う上で厳しい部分もある。

 その一角を山口が埋めることができれば、守備のベースアップを図れることは間違いない。パスの質もロンドン五輪の時期から大きく改善されており、ボランチの相棒を問わない点も、ザッケローニ監督の選択肢を広げそうだ。

 ただ、東アジアカップでは何度か瞬間的な対応の甘さから、決定的なプレーを許してしまう場面もあった。例えば韓国戦の失点は駒野と同時にポジションを下げてしまい、直後に手前のシュートスペースを詰め切れなかった。

 森重とも共通するが、そうした部分にこだわりを持って味方との連係、個の厳しさを突き詰めていくことが代表定着に直結するはずだが、キャプテンを担う長谷部のポジションを奪うためには、劣勢時にドリブルで持ち上がるなど、良い流れを引き寄せるプレーなど強いパーソナリティも求められてくるだろう。

【了】

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