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サルコジ・プラティニとの政治的癒着。W杯開催権を金で買ったカタール

text by 小川由紀子

以前は反中東派だったはずだが…

 カタールゲートの全容が公になる以前から、プラティニがサルコジの進言でカタールに投票した、という噂はあった。そのたびにUEFA会長は、「ただのでっち上げだ。わたしは、未開のこの地で世界的なスポーツイベントを開催することに意義を感じて、自分の意思でカタールに票を投じたのだ」とサルコジとの裏取引を全面的に否定し、「やましいことはしていない証拠に…」と前置きして、抽選会の前にサルコジ氏と会食の機会を持ったことを自ら公言した。

 しかし、スペインのドン・バロン誌のインタビューの中では、サルコジ氏から「君がカタールに投票してくれたらそれは素晴らしいことだ」と言われたことを認めている。それが彼の投票には何の影響も及ぼさなかったと強調しているが、動機はどうであれ、実際にカタールに票を投じ、サルコジの狙いどおりになったのは事実だ。

 そもそも、プラティニは以前から明確な反中東派だった。サッカー以外の競技で、カタールがメダル目当てに有能な選手を帰化させているような行為にも猛然と反発し、大金でキャリア晩年のスター選手をかき集めただけの空洞化したリーグにも苦言を呈していた。

 その彼が、「将来性を感じて」これまで一度もW杯に出場した経験がなく、FIFAランクで100位以内にも入っていないカタールに票を投じるのは、政治的意図以外の何ものでもない。


 カタールはプラティニを口説いたことで、彼だけでなく(プラティニの口利きによる)複数の票を得てW杯開催権を勝ち取った。スポーツの純粋性を汚すような政治的な癒着は許されていいことではない。フランスとプラティニは票の見返りとして何を受け取ったのか?

 続きは『欧州サッカー批評08』でお楽しみください。

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